2頭のライオンの死因は?
2頭のミイラは、お互いに10メートルも離れていない場所で発見されており、当初はオスの兄弟と考えられました。
しかし、調査の結果、生息年代が大きく異なり、2万6000年前に死んだ方はメスで、4万4000年前に死んだ方はオスと判明しています。その後、メスは「スパルタ(Sparta)」、オスは「ボリス(Boris)」と命名されました。
ともに母親から捨てられた可能性が高く、スパルタは餓死したことが分かっています。
調査を担当したアルバート・プロトポポフ博士は「発見当初、なぜこれほど痩せ細っているのか疑問でしたが、断層撮影をしたところ、内臓に脂肪分がまったくありませんでした。これはスパルタが極度の飢餓状態にあったということです」と説明します。
スパルタは、母親に見捨てられ餓死したか、あるいは、母親がエサを見つけられずに死なせてしまったのかもしれません。
一方、スパルタよりはるか昔に死んだボリスは、重いもので押しつぶされた内部損傷の痕がはっきり見られました。
プロトポポフ博士は「おそらく、母親に洞窟の中に置き去りにされた後、倒壊した落石に押しつぶされたのでしょう」と指摘します。
奇しくもその2万年後に、わずか10メートル先で同じ境遇のライオンが最後を迎えたのです。