初期の月は地球を守る磁気シールドだった
新たな研究は、この事実から地球と月の磁場が約40億年前にどのように振る舞っていたかをシミュレートしました。
研究チームはここから月の磁場は、地球と月に降り注ぐ初期太陽の激しい放射に対する障壁として機能していたと分析しています。
このモデルによれば、月と地球の磁場は極点域で接続されていて、この結合された磁場が高エネルギーの太陽風粒子の浸透をガードし、地球の大気が吹き飛ばされるのを防いでいたと考えらます。
また、この共有された月と地球の磁場は、月に大気をもたらしていた可能性が示されています。
太陽の強い紫外線は、地球極点最上部の大気粒子から電子を剥ぎ取り、粒子を帯電させました。帯電した大気は共有された磁力線に沿って地球から月へ移動し、月にも薄い大気をもたせていた可能性があるのです。
月の石のサンプルから窒素が発見されていますが、これは窒素を多く含む地球の大気が古代の月に運ばれたためであったという証拠と考えられます。
研究チームの計算では、この地球と月の結合した磁気圏は、41億年前から35億年前まで続いていた可能性があります。
やがて月は冷えていき、その磁気消失とともに大気も失っていきました。これは32億年前に大幅に減少し、15億年前には完全に消滅したと考えられます。