オーストラリアのパークス天文台。
オーストラリアのパークス天文台。 / Credit: CSIRO/A.Cherney
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太陽系に一番近い恒星からの「ナゾの電波信号」は、 地球外生命体が発信したのか?

2020.12.21 Monday

宇宙に地球以外の知的な文明はあるのでしょうか?

これは夜空を見るとき誰もが抱く疑問でしょうが、これを真面目に探索する研究プロジェクトがあります。

そして、現在もっともそれらしい電波が、太陽系にもっとも近い別星系プロキシマ・ケンタウリから確認されています。

研究者はその分析に非常に慎重になっていますが、果たしてこれはエイリアンの文明が放った電波と考えていいのでしょうか?

SETI https://www.seti.org/signal-proxima-centauri , nationalgeographic https://www.nationalgeographic.com/science/2020/12/alien-hunters-detect-myste

プロキシマ・ケンタウリから来る人工的な電波

2つの惑星を持つプロキシマ・ケンタウリのアーティストイメージ。
2つの惑星を持つプロキシマ・ケンタウリのアーティストイメージ。 / Credit:Lorenzo Santinelli,MIT Technology Review

説明の付かない無線信号は、太陽から4.2年離れたプロキシマ・ケンタウリから確認されました。

この系には、最低でも2つの惑星の存在が確認されていて、1つは木星のようなガス惑星ですが、もう1つの惑星「プロキシマb」は地球より約17%重い岩石惑星で、水が保持できる気温のハビダブルゾーンに存在しています。

この星系から、2019年に「BLC-1」と名付けられた奇妙な電波が拾われたのです。

奇妙と言われる理由は、「BLC-1」が982MHz(メガヘルツ)という限定的な帯域の電波だったからです。

通常、宇宙の電波源となるクエーサーや、パルサーなどの天体は、非常に広い周波数成分を持つ信号を放ちます。

単一の周波数の電波を発する自然現象というものは確認されていません。それが起きるのは人間の技術が電波を生成した場合だけです。

つまり、この電波は非常に人工的なものに見えるのです。

さらにこの電波源は地球に近づいたり、遠ざかったりしていることが示されています。

これは、電波源が星を周回する惑星から来ている可能性を意味しています。

これは、プロキシマ・ケンタウリの赤色矮星が頻繁に起こす巨大フレアを観測していたオーストラリア、パークス天文台の観測データの中から見つかりました。

データ処理を手伝っていた学生ショーン・スミスは、人工的な電波を宇宙から探してエイリアンの存在を見つけようという研究プロジェクト「ブレイクスルー・リッスン (Breakthrough Listen)」のメンバーで、観測データの中から今回の「BLC-1」を発見したのです。

「ブレイクスルー・リッスン」は、シリコンバレーの投資家ユーリ・ミルナーが1億ドルの資金提供をして開始されたもので、エイリアンの信号を求めて2016年から10年間で数百万の星を探査しています。

そんな人工的な電波が、地球から一番近い星系で発見されるというのは、なんともできすぎた話です。

もうしそうなると、天の川銀河には、かなりの知的文明がひしめいていると考えなければなりません。

統計的にいえば、私たちの銀河には5億以上の異星文明が存在しなければおかしいことになってしまうのです。

そのため研究者たちも、それらしい電波を見つけたと喜びながらも、本当にエイリアンの電波なのか? という部分はかなり慎重になっています。

次ページどうやってエイリアンの信号だと見分けるのか?

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