オーストラリアのパークス天文台。
オーストラリアのパークス天文台。 / Credit: CSIRO/A.Cherney
space

太陽系に一番近い恒星からの「ナゾの電波信号」は、 地球外生命体が発信したのか? (2/2)

2020.12.21 Monday

前ページプロキシマ・ケンタウリから来る人工的な電波

<

1

2

>

どうやってエイリアンの信号だと見分けるのか?

巨額の研究費を投じてエイリアンの信号を探す、というプロジェクトを進めながらも、研究者たちには人工的な電波の発見を手放しで喜べない理由があります。

それは人工的な電波とはつまり、地球の人間が放っている電波を拾ってるだけの可能性が高いからです。

Wi-Fi、GPS、衛信号、とにかく地球には電波があふれかえっています。そしてそれを電波望遠鏡がキャッチしてしまうのも珍しいことではありません。

地球は人工の電波で溢れている。
地球は人工の電波で溢れている。 / Credit:canva

5年前には、エイリアンの信号を捉えたと大々的に発表された観測電波が、天文台内で誰かが昼食に使った電子レンジのノイズだったと判明したこともありました。

地球上から宇宙の人工的な電波を探すという研究は、まさに針の山の中から、1本だけピンを探し出すようなものなのです。

「BLC-1」も思っていた通りの方角から来た信号ではないかもしれません。

執筆時(12/21)、土星と木星が非常に接近することが話題になっていますが、これは地球から見た場合という条件がついています。

実際2つの惑星は何億キロも離れていて接近はしていません。

しかし、このとき土星の放つ信号は、まるで木星が放っているように見えるでしょう。

プロキシマ・ケンタウリから来る信号も、本当にそこから来ているとは言い切れません。

ひょっとすると識別されていない人工衛星や、頭上を移動した飛行機、望遠鏡の視線に近い位置に設置された地上の送信機である可能性もあります。

場合によっては、観測所付近の建物が発生源であったり、近くを通り過ぎただけの車の電子機器の可能性もあるのです。

1977年にオハイオ州の天文台で受信された信号は、非常に人工的な電波に見えましたが、1度観測されたきりその後2度と発見できなかったということもあります。

ケンタウルス座α星(左)とβ星(右)。赤い円に囲まれた部分にプロキシマ・ケンタウリがある。
ケンタウルス座α星(左)とβ星(右)。赤い円に囲まれた部分にプロキシマ・ケンタウリがある。 / Credit:Wikipedia

結局は「BLC-1」は何らかの電波干渉であると特定される可能性が高いだろうと研究チームは考えています。

しかし、「そうした事例を積み重ねていくことが、真の外宇宙から来るエイリアンの文明を探す研究を強固なものにしていくはずです」とブレイクスルー・リッスンの主任研究員アンドリュー・シュミオン氏は語っています。

<

1

2

>

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

宇宙のニュースspace news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!