初期の人類が関与していた?
ドクハキコブラの特殊な進化を促した脅威とは、初期の人類だった可能性があります。
研究ではコブラの遺伝子配列から、進化の分岐がいつ起きたのかという系統樹を作成しました。
興味深いことに3つの異なる地域、時代に起きたドクハキコブラの進化の系統は、さかのぼっていくとそれぞれ初期人類の化石の登場と時期が一致していたのです。
「多くの霊長類は、棒や石を使ってヘビを攻撃します。二足歩行により、両手を自由に使ってヘビに危害を加えるヒト族の登場は、ドクハキコブラの長距離防衛能力や、攻撃抑止用に毒を変化させる淘汰圧力となったのかもしれません」
ヴュスター博士はそのように説明しています。
何百万年も前の初期人類が、コブラの毒の使い方に進化を引き起こしたという考えは、アフリカやアジアを起源とした初期の人類が、この広い地域の生態系と深く絡み合っていたことを強調する事実です。
どう見ても人間の目を狙うことに特化したとしか思えない、このドクハキコブラの動きと機能は、本当に人間に対抗するために毒蛇たちが見いだした進化の解答だったようです。
進化のタイミングが異なっていても、共通の問題に対しては、同じ答えにたどり着くことがあるというこの事例は、非常に興味深い発見だと言えます。