ペンギンの「よちよち歩き」を支える謎の筋肉――100年の時を経てついに発見か
ペンギンの「よちよち歩き」を支える謎の筋肉――100年の時を経てついに発見か / Credit:Canva
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ペンギンの「よちよち歩き」を支える謎の筋肉――100年の時を経てついに発見か

2026.05.07 17:00:20 Thursday

ペンギンは世界で最も魅力的な鳥の一つです。

まるでタキシードを着こなしているかのような見た目、水中を弾丸のように飛び回る姿、そして陸に上がった途端に始まる、あの全力のよちよち歩き。

あのユーモラスな歩き方を見て、「なぜペンギンはあんな歩き方なんだろう?」と疑問に思ったことがある人は多いはずです。

これまで科学者たちは、その原因を主にペンギンの骨格――とくに体の内側に折り畳まれた膝の構造に求めてきました。

しかし今回、アメリカのミッドウェスタン大学(MWU)の研究チームが、もっと根本的な手がかりを示しました。

ペンギンの後ろ脚に、他のどの鳥にも見られない「謎の筋肉」が存在していたのです。

しかもこの筋肉は、100年以上も前から文献にチラチラ登場していたにもかかわらず、正体がはっきりしないまま放置されてきたという、なかなかの曰く付きの組織でした。

研究の詳細は2026年に4月14日に『The Anatomical Record』にて発表されました。

Scientists reveal the secrets behind the penguin waddle and underwater “flight” https://www.eurekalert.org/news-releases/1125173
The signature waddle: Myology of the appendicular skeleton of the macaroni penguin (Eudyptes chrysolophus) https://doi.org/10.1002/ar.70185

ペンギンは立っているのに「永遠にしゃがんでいる」

ペンギンは立っているのに「永遠にしゃがんでいる」
ペンギンは立っているのに「永遠にしゃがんでいる」 / Credit: Thursby16 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0; Daiju Azuma / Wikimedia Commons / CC BY 4.0; Thursby16 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0; image composite by ナゾロジ―編集部/ CC BY-SA 4.0

ペンギンが歩くのが下手なのには、ちゃんと理由があります。

普通の鳥(スズメでもニワトリでも)の脚も、私たちが見ている部分は実は「足首から下」で、本当の膝は体に近い位置で羽毛に隠れています。

ペンギンはこれをさらに極端にしています。

私たちが普段「ペンギンの膝」だと思っている場所は、実は足首に相当する関節です。

本当の膝は体の内部に隠れており、常に深く曲がった状態で保たれています。

つまりペンギンは、生まれてから死ぬまでずっとスクワットの底の姿勢で生きているようなものです。

これは水中を泳ぐには都合がいい構造です。

脚を体にぴったり収納できるので、水の抵抗が最小限になる。

でも陸上で歩くには圧倒的に不利です。

ここで疑問が生まれます。

こんなに不利な姿勢で、ペンギンはどうやって倒れずに歩いているのでしょうか?

実はこの疑問への答えとなる手がかりは、1883年から科学者たちの目の前にありました。

イギリスの解剖学者ワトソンが、チャレンジャー号探検航海で集められたペンギンを解剖し、ある奇妙な筋肉を見つけたのです。

胸骨の末端から始まり、左右の脚の脛足根骨(鳥のすねにあたる骨)に伸びている筋肉。

他の鳥には見られない構造でした。

ところがその後、この筋肉の正体はずっと曖昧なままでした。

「これは腹斜筋(お腹の筋肉)の一部の枝でしょう」

「いや、内側下腿屈筋という別の筋肉の浅い部分でしょう」

「いや内側下腿屈筋なのか、外腹斜筋なのかは決めきれない」

というように研究結果も定まりませんでした。

つまり、「何かそこにあるけど、何なのかよく分からない」「名前もない」という状態が100年以上続いていたわけです。

転機が訪れたのは、サンディエゴのシーワールドが研究チームに2羽のマカロニペンギンを寄贈したことから始まります。

医療上の理由で人道的に安楽死された個体で、オス1羽(16歳・4.48kg)とメス1羽(36歳・3.16kg)。

ちなみにメスの36歳は野生では考えられないほどの長寿でした。

研究者たちは、この2羽を徹底的に解剖しました。

最新の保存技術と造影剤で処理された標本を使い、ひとつひとつの筋肉を確認しながら、起始(始まる場所)と停止(終わる場所)、重さを記録していきました。

そして、ついに「あの謎の筋肉」と向き合う時が来たのです。

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