謎の筋肉はペンギンの左右に揺れる歩きを支えていた

研究チームが丁寧にペンギンの解剖を進めると、100年正体を曖昧にされてきた筋の輪郭が、ようやくはっきり見えてきました。
この筋肉は、これまで言われてきたどの筋肉の一部でもない、独立した別個の筋肉だったのです。
そして研究チームはこの筋肉に、新しい名称を提案しました。
「脛骨内転筋」です。
では、この筋肉はペンギンの歩行にどう貢献しているのでしょうか。
人間のような二足歩行ができる動物では、体が前後方向に振り子のように揺れながら進みます。
ところが先行研究によれば、ペンギンの場合は振り子が左右方向に揺れます。
ペンギンの物まねをすると、多くの人がする左右に揺れる歩き方です。
脛骨内転筋は、この左右の揺れからエネルギーを回収しつつ、揺れが大きくなりすぎないように制御する、いわばペンギン専用の姿勢制御装置として機能していると研究チームは考えています。
またペンギンの大腿骨は常に外に開いた状態にあることが知られています。
このまま歩くのは、実はかなり大変です。
試しに、足を大きく開いて立ったまま歩いてみてください。
一歩ごとに脚がさらに外へ広がろうとする力がかかるのが分かるはずです。
ペンギンは生まれつきこの姿勢ですから、何の支えもなければ脚はどんどん開いていってしまいます。
脛骨内転筋は、まさにこの問題を防ぐストッパーの役割を果たしていると研究チームは考えています。

脛骨内転筋の仕事は、陸上だけにとどまりません。
ペンギンが水中を泳ぐとき、後ろ脚は比較的まっすぐ伸ばされ、足の裏が横を向いた状態になります。
このとき、もし両脚がバラバラに広がっていたら、水の抵抗が大きくなって泳ぎの効率が落ちてしまいます。
脛骨内転筋は、水中でも両方の脛足根骨をぴったりと寄せた状態に保ち、脚をロケットのフィンのように一体化させる役割も果たしているとみられます。
これにより、ペンギンは余計な力を使わずに流線型のシルエットを維持できるというわけです。
つまりこの筋肉は、陸では「よちよち歩きの安定装置」、海では「流線型維持装置」という、一つで二役をこなす万能選手だった——研究チームはそう推測しています。
ただしこれは構造から推論された有力仮説で、実際にペンギンが歩いたり泳いだりするときに脛骨内転筋がどう活動しているかは、まだ直接測定されていません。
なお論文では、ワニなど他の動物に存在する似た筋肉(哺乳類でいう薄筋)と進化的につながっている可能性にも触れられています。
少なくともこれまでの鳥類研究では、ペンギン特有とみられますが、もっと広い進化の枠で見れば、遠縁にあたる筋肉が他の動物にもあるのかもしれません。



























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