ドクハキコブラが直面した脅威

ドクハキコブラは、獲物に噛み付いて殺すためではなく、相手に向かって噴射し、激しい痛みを引き起こさせるために毒を用います。
彼らの毒吐きは、最大2.5メートルという射程を持ち、的確に相手の目を狙って噴射できるように独自の進化を遂げています。
これはドクハキコブラが狩りのためではなく、防衛目的で毒の機能を進化させた可能性を示唆しています。
さらにドクハキコブラは、異なる地域、時代に進化したいくつかのグループで、同じようにこの独特の進化をしています。
今回の研究チームの1人、英国バンガー大学自然学部のヴォルフガング・ヴュスター博士は、この理由について「それぞれが同じような脅威に直面したとき、同じような進化上の解決策にたどり着いた可能性がある」と説明しています。
すべてのコブラは、サイトトキシンと呼ばれる組織破壊を引き起こす毒を持っています。
しかし、ドクハキコブラは、ホスホリパーゼA2という別の毒素をここに加えることで、瞬間的な痛みを伴う毒を作り出して、攻撃者の抑止や失明させる能力を獲得しました。
生物学では、進化がどの程度予測可能なのか、あるいはランダムで予測不可能なのか、という問題があります。
3つのドクハキコブラのグループは、進化が同じ問題に何度もぶつかったとき、同じ解決策の進化につながるという驚くべき事例を示しています。
では、3つのドクハキコブラの進化に関連した共通の脅威とは一体何だったのでしょうか?
初期の人類が関与していた?

ドクハキコブラの特殊な進化を促した脅威とは、初期の人類だった可能性があります。
研究ではコブラの遺伝子配列から、進化の分岐がいつ起きたのかという系統樹を作成しました。
興味深いことに3つの異なる地域、時代に起きたドクハキコブラの進化の系統は、さかのぼっていくとそれぞれ初期人類の化石の登場と時期が一致していたのです。
「多くの霊長類は、棒や石を使ってヘビを攻撃します。二足歩行により、両手を自由に使ってヘビに危害を加えるヒト族の登場は、ドクハキコブラの長距離防衛能力や、攻撃抑止用に毒を変化させる淘汰圧力となったのかもしれません」
ヴュスター博士はそのように説明しています。
何百万年も前の初期人類が、コブラの毒の使い方に進化を引き起こしたという考えは、アフリカやアジアを起源とした初期の人類が、この広い地域の生態系と深く絡み合っていたことを強調する事実です。
どう見ても人間の目を狙うことに特化したとしか思えない、このドクハキコブラの動きと機能は、本当に人間に対抗するために毒蛇たちが見いだした進化の解答だったようです。
進化のタイミングが異なっていても、共通の問題に対しては、同じ答えにたどり着くことがあるというこの事例は、非常に興味深い発見だと言えます。






















ヒトの脅威がそれほど大きな選択圧として働いたのだとすれば、同系統で絶滅したヘビがいてもよさそうですが、そのあたりはどうなのでしょうか?