王座を剥奪すると1ヶ月で元どおりに
ペニック氏と研究チームは、約30のコロニーを対象に、各コロニーにつき2匹の新女王を追跡調査しました。
1匹はコントロール群として、普通に女王の仕事(産卵)をしてもらいます。
一方で、もう1匹は実験群として、1ヶ月間チームの準備した独房に入れ、他のアリから完全に隔離した状態に置きました。
すると、隔離された新女王はすぐに卵を産まなくなり、働きアリのような振る舞いに戻ってしまったのです。
独房から解放してみると、卵巣が未発達なためか、働きアリに捕らえられ、数時間拘束されました。
その後、コロニーに戻った元女王を6〜8週間後に解剖したところ、卵巣は完全に縮小し、脳も元のサイズに戻っていたのです。
この傾向は実験群のすべてに見られ、平均して約1ヶ月で元のサイズに戻っていました。
ペニック氏は、この奇妙な可塑性について、「生息地のインドは気温が非常に高く、女王の死亡率も他種に比べて高いため、すぐに後継を務められるよう進化したのではないか」と推測しています。
研究チームは、この点の解明も含め、他に同じような可塑性を持つアリがいるか調べていく予定です。