アフリカ、北サヘル地域の豪雨
アフリカ、北サヘル地域の豪雨 / Credit:canva
geoscience

「アフリカで大雨が降ると日本が猛暑になる」と初めて解明される

2024.07.25 Thursday

「ブラジルで蝶が羽ばたくとテキサスで竜巻が起きる」

これはバタフライエフェクトとして知られる気象の複雑さを示した極端なたとえですが、あながち冗談ともいえません。

三重大学の研究グループによる研究では、日本の猛暑の原因がアフリカにあると報告しています。

アフリカのサヘル地域(サハラ砂漠のすぐ南)で雨雲が大きく発達すると、日本上空の高気圧を強める引き金となり、日本が猛暑になるというのです。

この研究の詳細は、気候分野のトップジャーナルであるドイツの学術雑誌『気候力学(Climate Dynamics)』に2021年5月20日付でオンライン掲載されています。

日本やアジアの異常気象の一因が アフリカのサヘル地域の雨雲にあることを初めて解明 ― アフリカのサヘル地域で大雨が降れば、日本は猛暑に ―(三重大Rナビ) https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/cat-1/post-39.html
Possible semi-circumglobal teleconnection across Eurasia driven by deep convection over the Sahel https://link.springer.com/article/10.1007/s00382-021-05804-x

日本の猛暑の引き金はアフリカにあった

アフリカのサヘル地域。サハラ砂漠の南縁部。
アフリカのサヘル地域。サハラ砂漠の南縁部。 / Credit:en.wikipedia

三重大学生物資源学研究科の立花義裕らの研究グループは、39年間にわたる地球気候の観測値の分析と数値シミュレーションから、日本の猛暑がアフリカのサヘル地域の雨の発達と関連していると報告しています。

サヘル地域とは、サハラ砂漠の南に位置する一帯を指します。

この地域の気候については、主にヨーロッパの研究者が調査を行っていて、あまり日本で着目している研究者はいません。

確かに地球の気象は遠隔地の気候と複雑に絡み合っていて、日本の異常気象がエルニーニョなど太平洋上の気候に影響されるという報告はあります。

しかし、これまで遠く離れたサヘル地域のような陸上の雨雲が、日本の気候に影響するという視点は見逃されていました

では、いったいどういった理屈で、遠いアフリカの雨雲が日本の猛暑の引き金となるのでしょうか?

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