2億5000万年後の地球は超大陸パンゲア・ウルティマになると予想され、そのとき哺乳類は絶滅している可能性が高い
2億5000万年後の地球は超大陸パンゲア・ウルティマになると予想され、そのとき哺乳類は絶滅している可能性が高い / Credit:mapmania.org
geoscience

哺乳類の時代は新超大陸「パンゲア・ウルティマ」の形成で終わるかもしれない

2023.09.27 Wednesday

地球の長い歴史では、幾度となく地上の覇者たる種の入れ替えが起きてきました。

我々人類を含む哺乳類の繁栄もいずれ終わるときがします。しかし、それは一体いつなのでしょうか?

英国ブリストル大学の気候学者であるアレクサンダー・ファーンズワース博士らが行った、スーパーコンピューターのシミュレーションによると、約2億5000万年後に形成される超大陸では哺乳類が適応できないほど気温が高くなる可能性があるといいます。

よく知られている通り、地球上の大陸はプレートテクトニクスの活動によってゆっくりと移動しており、定期的に陸地の統合と離散が繰り返されています。

約3億年前、地球にはパンゲアという超大陸が形成されていましたが、その陸地は現在離散しています。そして約2億5000万年後、再び主要な大陸が一つに集まってパンゲア・ウルティマと呼ばれる超大陸が形成されると考えられています。

そのパンゲア・ウルティマには哺乳類の居場所はないかもしれないというのです。

この研究は、2023年9月25日付で、学術誌『nature geoscience』に掲載されました。

Mammals may be driven to extinction by volcanic new supercontinent Pangaea Ultima https://www.livescience.com/planet-earth/mammals-may-be-driven-to-extinction-by-volcanic-new-supercontinent-pangaea-ultima
Climate extremes likely to drive land mammal extinction during next supercontinent assembly https://www.nature.com/articles/s41561-023-01259-3?utm_medium=affiliate&utm_source=commission_junction&utm_campaign=CONR_PF018_ECOM_GL_PHSS_ALWYS_DEEPLINK&utm_content=textlink&utm_term=PID100052172&CJEVENT=93959e185c0a11ee82bc513d0a1cb828

超大陸パンゲア・ウルティマの環境をシミュレーションで予測

ドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーが1912年に提唱した大陸移動説によれば、地球上の広大な陸地は、およそ4億年から5億年の周期で超大陸の形成と離散を繰り返すとされています。

地球が生まれてから約46億年という長い年月の中で、小規模なものもあわせると20以上の大陸が形成されてきました

プレートテクトニクスの移動を示した動画。
プレートテクトニクスの移動を示した動画。 / Credit: Dr Andrew Merdith, University of Lyon

そして、今現在も地球上の大陸は、年間に数センチ程度の速さで移動しています。

つまり、今はバラバラになっている大陸たちも、いずれはまた一つになり、超大陸を形成すると考えられます。

次の超大陸として、科学者たちは約2億5千万年後、今の大陸たちが赤道上で衝突して、超大陸パンゲア・ウルティマを形成すると予想しています。

そして今回、ファーンズワース博士ら研究チームは、この超大陸パンゲア・ウルティマの形成がもたらす、地表温度の変化、太陽からの放射強度の増加、大気中の二酸化炭素の増加などを考慮した気候モデルを用いて、地球の環境の変化を予測しました。

高温になる新超大陸

研究チームの予測では、約2億5千万年後に形成される超大陸パンゲア・ウルティマは、そのほとんどの場所が40度以上という非常に高温になると考えられています。

これはパンゲア・ウルティマが赤道上で衝突して形成されると予測されていることが理由の1つで、ほとんどの地域が熱帯の圏内に入ってしまうためです。

またもう1つの理由が、大陸が集合することで、ほとんどの地域が海からの冷却効果を受けることができなくなることです。

しかし超大陸の温暖化のもっとも大きな要因は、超大陸の形成に伴って活発化した大規模な火山活動で引き起こされる可能性があります。

地殻の変動、特にプレートが衝突することによって地球の地下では大規模な変動が起こり、これが大規模な噴火を引き起こすと考えられるのです。

これらの噴火は大量の溶岩を噴出させ、その溶岩が積み重なって火成岩地帯と呼ばれる地域を形成します。

この溶岩には炭素が含まれているため、その炭素が燃焼したり、化学反応を起こすことで大気中に大量の二酸化炭素(CO2)を放出し、気温上昇の一因となるのです。

超大陸パンゲア・ウルティマのほとんどの場所は40度を超え、陸地の92%は哺乳類が住めない環境になることが予想されています
超大陸パンゲア・ウルティマのほとんどの場所は40度を超え、陸地の92%は哺乳類が住めない環境になることが予想されています / Credit:Alexander Farnsworthet al.,nature geoscience(2023) / ナゾロジー編集部

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