超大陸パンゲア・ウルティマの環境をシミュレーションで予測
ドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーが1912年に提唱した大陸移動説によれば、地球上の広大な陸地は、およそ4億年から5億年の周期で超大陸の形成と離散を繰り返すとされています。
地球が生まれてから約46億年という長い年月の中で、小規模なものもあわせると20以上の大陸が形成されてきました。
そして、今現在も地球上の大陸は、年間に数センチ程度の速さで移動しています。
つまり、今はバラバラになっている大陸たちも、いずれはまた一つになり、超大陸を形成すると考えられます。
次の超大陸として、科学者たちは約2億5千万年後、今の大陸たちが赤道上で衝突して、超大陸パンゲア・ウルティマを形成すると予想しています。
そして今回、ファーンズワース博士ら研究チームは、この超大陸パンゲア・ウルティマの形成がもたらす、地表温度の変化、太陽からの放射強度の増加、大気中の二酸化炭素の増加などを考慮した気候モデルを用いて、地球の環境の変化を予測しました。
高温になる新超大陸
研究チームの予測では、約2億5千万年後に形成される超大陸パンゲア・ウルティマは、そのほとんどの場所が40度以上という非常に高温になると考えられています。
これはパンゲア・ウルティマが赤道上で衝突して形成されると予測されていることが理由の1つで、ほとんどの地域が熱帯の圏内に入ってしまうためです。
またもう1つの理由が、大陸が集合することで、ほとんどの地域が海からの冷却効果を受けることができなくなることです。
しかし超大陸の温暖化のもっとも大きな要因は、超大陸の形成に伴って活発化した大規模な火山活動で引き起こされる可能性があります。
地殻の変動、特にプレートが衝突することによって地球の地下では大規模な変動が起こり、これが大規模な噴火を引き起こすと考えられるのです。
これらの噴火は大量の溶岩を噴出させ、その溶岩が積み重なって火成岩地帯と呼ばれる地域を形成します。
この溶岩には炭素が含まれているため、その炭素が燃焼したり、化学反応を起こすことで大気中に大量の二酸化炭素(CO2)を放出し、気温上昇の一因となるのです。