気温上昇に哺乳類は適応できない
このような気温の上昇に対して、おそらく哺乳類は適応することができないでしょう。
哺乳類は体温を調節する機能、例えば汗腺や循環系を持っているため、寒さへの耐性が高く、また高温にも比較的容易に適応することが可能です。
しかし、気温が40度を超え湿度が高い環境になると、体温調節機能はうまく機能せず、体から余分な熱を放出することが困難になります。
今回研究チームは、新しい超大陸パンゲア・ウルティマ全体の気温と湿度を予測するため、新しいスーパーコンピューターを利用した気候モデルでシミュレーションを行いました。
その結果、太陽からの放射強度が2.5%増加し、大気中の二酸化炭素濃度が現在の1.5倍に増えると、新しい大陸のうち、哺乳類が生きていけるのはわずか8%の広さにしか過ぎないことが明らかになったのです。
この結果は、高温になった地球がどれほど生物にとって厳しい環境になるかを示しており、今後の地球環境を考える上でも重要な指標となっています。
現在では、サハラ砂漠のような地域でも生息できる特殊な哺乳類がいることが知られています。
しかし、未来の超大陸パンゲア・ウルティマが形成された場合、これらの哺乳類が生き残れるかはわかりません。
実際には爬虫類の方が新しい環境に適応できるかもしれませんし、環境に適応した全く新しい種類の生物が現れる可能性も考えられます。
ファーンズワース博士は、「超大陸の形成は、地質学的に過去5回の大量絶滅のうち、4回と一致している」とし、超大陸パンゲア・ウルティマの形成は、現在の陸上の全ての生命にとって終焉をもたらす可能性があると警告しています。
しかし、パンゲア・ウルティマとは別に、現在の東アジアを中心にユーラシア、オーストラリア、アメリカが衝突するアメイジア大陸が形成されるという説もあり、未来に形成される超大陸がパンゲア・ウルティマとならない可能性もあります。
もしパンゲア・ウルティマ以外の超大陸が形成された場合、哺乳類が生き残るチャンスもあるのかもしれません。
かつて繁栄した恐竜たちは、現在の私達よりも遥かに長い年月を地上の覇者として過ごしてきました。
しかし、彼らの時代も結局は終りを迎えました。
そのため私たち哺乳類の時代はいつ終わるのだろうと、想像したことのある人は多いでしょう。
それはまだ遥か未来のことですが、超大陸パンゲア・ウルティマが形成されるとき、哺乳類の時代は終わるのかもしれません。