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Credit: University of St Andrews-Elite Freedivers Beat Seals During Deep Dives(2021)
biology

トップダイバーの心拍数が「1分間に11回」を記録!イルカやクジラに匹敵

2021.07.06 Tuesday

フリーダイバーたちは、人体の限界と向き合いながら、たった一息で深く潜ることを追い求めています。

世界トップクラスのダイバーになると、潜水時間は4分を超え、水深は100メートル以上に達するという。

今回、セント・アンドルーズ大学 (University of St Andrews、スコットランド)、ミッドスウェーデン大学(Mid Sweden University)らの調査の結果、水深107メートルに到達したダイバーの脳内酸素濃度は、アザラシよりも低くなることが判明しました。

さらに、水中での心拍数は、クジラやイルカと同程度の低さに達していたとのことです。

研究は、6月28日付けで科学誌『Philosophical Transactions of the Royal Society B』に掲載されています。

Free divers’ heart rates can drop as low as 11 beats per minute https://www.livescience.com/divers-brain-oxygen-level-lower-seals.html Elite Freedivers Beat Seals During Deep Dives – Incredible Heart Rates and Brain Oxygen Levels https://scitechdaily.com/elite-freedivers-beat-seals-during-deep-dives-incredible-heart-rates-and-brain-oxygen-levels/
When the human brain goes diving: using near-infrared spectroscopy to measure cerebral and systemic cardiovascular responses to deep, breath-hold diving in elite freedivers https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rstb.2020.0349

心拍数は「1分間に11回」を記録!

研究主任のエリカ・シャガタイ氏は、30年にわたってフリーダイバーの生理学を研究してきました。

氏は「これまではラボ内での模擬潜水でメインにしていたため、実際の海で100メートル以上の深さまで潜った時に、ダイバーのや循環器系にどのような影響があるのか、正確に理解できていませんでした。

ダイバーは、深く潜水するにつれて体内の酸素がなくなり、意識を失うブラックアウト状態に陥る危険性があります。

本調査の目的のひとつは、ブラックアウトが差し迫っていることをダイバーや安全管理者に知らせる、体内計測法を確立することでした」と話します。

そこで研究チームは、発光LEDを皮膚に貼り付けて、ダイバーの心拍数、血液量、脳内酸素濃度を測定するスマートウォッチ式のシステムを開発しました。

このウェアラブルシステムは、水深が100メートル以上に達しても、ダイバーの生理機能を安定的に測定できます。

チームは、世界トップクラスのダイバーに協力を要請し、潜水中の体内状態の変化を記録。ダイバーは一息で4分以上の潜水を行い、水深107メートルまで達しました。

驚異の心拍数を記録
驚異の心拍数を記録 / Credit: University of St Andrews-Elite Freedivers Beat Seals During Deep Dives(2021)

計測の結果、ダイバーは常人ではありえない驚異的な生理的反応を示しています。

なんと心拍数は1分間に11回という低さに達していました。一般人の平均心拍数が1分間に60〜70回であることを考えると奇跡的な数値です。

さらに、通常98%の酸素が供給されている血液中の酸素濃度は25%にまで低下しており、人間が意識を失うとされる50%をはるかに超えています。

脳内の酸素濃度はアザラシの平均的な数値よりも低く、心拍数は潜水中のクジラやイルカに匹敵するものでした。

こちらが試験の様子。

同チームのクリス・マックナイト氏は「この新知見は、フリーダイビングの安全性を高めるだけでなく、心臓病患者の新たな治療法の発見にもつながる」と指摘。

「フリーダイバーがいかにして極低酸素状態に耐え、脳への酸素供給を調整するかを解明することで、外科手術中の脳や心臓の保護の改善が期待できるでしょう」と述べています。

一体、人体はどれほどの極限状態まで耐えられるのでしょうか。

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