他の感覚を奪うごとに皮膚は「敏感」になる
今回の研究により、バランス感覚が触覚と密接な関係を持っていることが判明しました。
横になることは主要な感覚の1つである「バランス感覚」を低下させ、触覚を敏感にしていたのです。
また追加の研究では、横になるのに加えて目を閉じた状態での「腕組み実験」が行われました。
バランス感覚に加えて視覚も遮断した場合、触覚の判断力がより増加すると考えたからです。
結果は予想通り「腕組み実験」の成績はより上昇しました。
どうやら触覚は、他の感覚を遮断するにつれて、より敏感になっていくようです。
ではなぜ、人間の触覚は視覚やバランス感覚と結びついているのでしょうか?
答えは、迅速性を得るためだと考えられます。
触覚だけに頼るより、視覚やバランス感覚と組み合わせることで、より総合的で素早い判断が可能になります。
それが危機の回避や狩りの成功につながり、生存能力を上げることが可能になるのです。
「腕組み実験」が成り立つのは、人類の進化において、左右の腕を交差しなければ生き残れないような場面は少なかったからかもしれません。
研究者たちは今後、バランス感覚をうみだす三半規管と前庭に対する調査を続け、人間の感覚に対する理解を続けていくとのこと。
彼らの研究は次回もきっと、私たちの記憶に残り続けるような興味深いものになるでしょう。