ガンジス川に何が起きているのか?
ガンジス川は、ヒマラヤからベンガル湾に向かって流れる全長2500km以上の大河で、インドやバングラデシュの約6億人が日々の水や農業、工業利用に頼っています。
しかし近年、このガンジス川の水量が「かつてないほど急速に減少している」という衝撃的な事実が、インド工科大学ガンディナガル校(IITGN)と米アリゾナ大学(The University of Arizona)の共同研究によって明らかになりました。
研究チームは、過去1300年にわたるガンジス川の水量の変動を再現するため、「樹木年輪」のデータや歴史記録、さらに最新の水文学モデルを組み合わせるという方法を取りました。
この手法によって、700年から2012年までの流量を高精度で再現し、さらに過去に記録された干ばつや飢饉の年と照合して信頼性も検証しました。
その結果、1991年から2020年にかけてのガンジス川の流量の減少(=干ばつの深刻さ)は、16世紀に起きたこれまでで最も最悪とされていた干ばつよりも「76%も深刻」であることが分かりました。
しかも単に一時的な現象ではなく、干ばつが起きる頻度も増え、持続期間も長くなっているのです。