背骨の曲がったジンベエザメを確認
調査チームは2010年と2013年に、メキシコ湾北部の「Ewing Bank」と呼ばれるエリアで、異様な姿のジンベエザメと遭遇しました。
その個体は体長6メートルほど。
通常なめらかな体形のはずが、背中から尾にかけて大きく“S字”に曲がり、横から見ると明らかに脊椎が変形しているのがわかります。
【実際の個体の画像がこちら】
この変形は、専門的には「後側弯症」と呼ばれる、複数方向への異常な曲がり方でした。
研究チームはこの個体に衛星タグを装着し、98日間にわたりその動きや生態を追跡しました。
しかし驚くべきことに、重度の変形を抱えたこのジンベエザメは、普通の個体とほぼ変わらぬ生態を見せていました。
タグの記録によれば、約3カ月間で2000キロメートル以上もの長距離をメキシコ湾内で移動していたのです。
また、研究者たちはこの個体が他のジンベエザメと同じように、水面で魚の卵を摂食する様子も観察しました。
つまり、変形があってもジンベエザメ本来の「ろ過摂食者」としての暮らしをきちんと維持できていたといえます。