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Credit: canva
psychology

日常生活でよく笑うと「うつ」になりにくくなると判明

2025.09.30 07:00:48 Tuesday

日常の中で自然に生まれる「笑い」が、実はあなたの心の健康を大きく左右している。

そんな驚きの研究結果が、東北大学大学院歯学研究科により報告されました。

日本の高齢者を対象とした大規模調査により、「ほぼ毎日笑う人」は「ほとんど笑わない人」と比べて、6年後にうつ状態になるリスクが約1.5倍も低いことが明らかになったのです。

この発見は、これまで短期的な介入や一時的な「笑い療法」にとどまっていた知見を大きく前進させるもの。

「自然な笑い」の積み重ねが、将来の心の健康を守る鍵になるかもしれません。

研究の詳細は2025年9月9日付で学術誌『Journal of Affective Disorders』に掲載されています。

日常生活でよく笑う人はうつになりにくい ~毎日笑う人と比べて、ほとんど笑わない人は抑うつ状態に至るリスクが1.5倍~ https://www.dent.tohoku.ac.jp/news/view.html#!1248
Frequency of laughter and depression onset among older adults: A 6-year longitudinal study from the Japan Gerontological Evaluation Study https://doi.org/10.1016/j.jad.2025.120209

「笑い」と「うつ」の関係とは

「よく笑う人は心が健康」――そんな話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

しかし、これまでの研究では「笑わないからうつになるのか」「うつだから笑えなくなるのか」という因果関係がはっきりしていませんでした。

そこで注目されたのが、日本老年学的評価研究(JAGES)による大規模追跡調査です。

研究チームは、全国の65歳以上の高齢者約3万2000人を対象に、2016年から2022年まで6年間にわたって調査を実施しました。

調査では、参加者に「普段の生活で、声を出して笑う機会はどれくらいありますか?」と質問。

その回答を「ほぼ毎日」「週に1~5回」「月に1~3回」「ほとんどない」の4つに分類し、その後6年間で新たにうつ状態になったかどうかを判定しました。

うつ状態の評価には、国際的に用いられる「老年期うつ病評価尺度(GDS)」を使用。

5点以上を「うつ」と判定し、調査開始時点ですでにうつ傾向がある人は分析対象から除外しました。

この方法により、「笑いが少ないからうつになるのか」という“順番”の問題や、もともと心の健康がすぐれない人が笑えなくなるだけではないか、という従来の疑問点を克服した設計となっています。

次ページ「笑わない」人はうつリスク1.5倍に

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