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髪の毛より細い繊維の中に電子回路を構築することに成功。※イメージ / Credit:Canva
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”髪の毛より細い繊維”の中に電子回路を構築【1mでPCレベルの処理能力】

2026.01.30 11:30:42 Friday

普段着ているようなシャツがパソコンのように機能する。

そんな未来が、思っているよりも早くやって来るかもしれません。

中国・上海にある復旦大学(Fudan University)の研究チームは、人の髪の毛よりも細い繊維の内部に、情報処理が可能な電子回路を組み込むことに成功しました。

この「ファイバーチップ」と呼ばれる技術によって、布の中で情報処理まで完結する未来像が現実味を帯びてきました。

この研究成果は、2026年1月21日付の『Nature』に掲載されました。

Scientists just put a powerful computer inside a single thread https://newatlas.com/materials/scientists-fiber-chip-thread/ ‘Fiber chip’ could be a boon for healthcare https://www.fudan.edu.cn/en/2026/0122/c344a148125/page.htm
Fibre integrated circuits by a multilayered spiral architecture https://doi.org/10.1038/s41586-025-09974-0

髪の毛より細い!計算できる繊維「ファイバーチップ」を開発

衣服や繊維に電子機能を持たせる研究は、これまでも数多く行われてきました。

温度や圧力を感知するセンサー、光る繊維、電力を蓄える糸など、「感じる」「光る」「動く」布は、すでに現実のものになりつつあります。

しかし、これらの技術には決定的な弱点がありました。

それは、情報を処理する中枢を繊維の中に持てなかったという点です。

従来のスマートテキスタイルでは、繊維が集めた情報を外部のスマートフォンコンピュータに送って処理する必要がありました。

その結果、配線や硬い部品が不可欠となり、布本来の柔らかさや着心地が損なわれてしまいます。

この問題の背景には、電子チップの構造があります。

一般的な半導体チップは、平らで硬いシリコン基板の上に作られています。

一方、繊維は極めて細く、曲がり、ねじれる構造をしています。

この形状の違いが、「本格的な計算回路を繊維に組み込む」ことを長年難しくしてきました。

そこで研究チームは、従来の発想を捨てました。

繊維の表面に回路を貼り付けるのではなく、繊維の内部空間そのものを回路として使うという方法を選んだのです。

具体的には、電子回路を薄い層として何重にも巻き重ねる「多層らせん構造」を採用しました。

この設計により、限られた断面積を最大限に活用しながら、高密度な回路を繊維の中に収めることが可能になりました。

こうして誕生したのが、ファイバーチップ(またはFibre Integrated Circuit, FIC)です。(画像はこちら。※プレスリリース

ファイバーチップの太さは直径およそ50マイクロメートルで、一般的な人の髪の毛(平均約70マイクロメートル)よりも細いサイズです。

では、この繊維タイプのチップの性能はどれほどでしょうか。

次ページ1mmで1万トランジスタ、繊維が「考える」時代へ

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