超音波を交差させて「音のプライベート空間」を作ることに成功
私たちは普段、スピーカーやヘッドホンを使って音を聴きます。
しかし、スピーカーを使えば周囲の人にも聞こえてしまい、ヘッドホンを使えば耳をふさぐことになります。
私たちの「音を聴く」という行為は、これまでずっとこのルールに制限されてきました。
耳をふさがずに、しかも、周囲の人には漏れることのない音楽体験を可能にすることはできるでしょうか。
今回、研究者たちは、超音波を利用して「オーディブル・エンクレーブ(audible enclaves)」と呼ばれる「音のプライベートスポット」を作ることに成功しました。

これは、目に見えない小さな音の「泡」のようであり、その中にいる人だけが音を聴くことができるというものです。
では、どのようにこれを可能にしているのでしょうか。
研究者たちは、2本の超音波ビームを放射し、それらを適切な交差点で干渉させることで、特定のエリアでのみ周波数変調が起こり、可聴範囲の音を生成しているのです。
どちらの超音波ビームも、それ自体では音を聴くことはできません。
ビームが交差して初めて可聴音が発生するので、スポット外の人には音が聴こえないのです。
またこのビームは人間の頭などの障害物を回避して、指定された交差点に到達できるため、どのような場所でも「音のプライベートスポット」を生成することが可能だと言えます。