量子もつれと時空の形状は関連している

今回の研究のカギになるのが「量子もつれ」と呼ばれるつながりです。
ふつう、コインを二枚投げたら、表か裏かはそれぞれバラバラに決まります。
しかし量子の世界では、二つの粒子が「もつれた状態」になると、どんなに遠く離しても、片方を調べた瞬間に、もう片方の結果もぴたりと決まってしまう、というふしぎな関係が生まれます。
量子コンピューターや量子通信では、この量子もつれを上手に利用しようとする研究がたくさん行われています。
今回の論文では、さらに一歩進めて、「量子もつれそのものが『空間の形』と関係しているのではないか」という、かなり大胆なアイデアに挑戦しています。
では、こんなミクロな量子の世界と、星や銀河が動き回るマクロな宇宙の世界が、どうつながるのでしょうか。
きっかけの一つは、ブラックホール研究から生まれました。
ブラックホールには「エントロピー」、つまり中にどれだけ情報が詰め込まれているかを表す量があると考えられています。
驚くべきことに、そのエントロピーはブラックホールの体積ではなく「表面積」に比例する、という結果が見つかりました。
普通の箱なら、中身の情報量は体積に比例しそうなものなのに、ブラックホールでは表面積が情報量の目安になる、というわけです。
この発見から、「もしかすると、重力を含む本当の宇宙は、三次元や四次元の空間そのものではなく、そのまわりの“壁”に書かれた情報から再現されているのではないか」という大胆な考えが生まれました。
これが「ホログラフィック原理」と呼ばれるアイデアです。
またホログラフィーの世界では、リュウ=タカヤナギ公式と呼ばれるものが、「もつれの量=時空の面積」という対応を与えてくれます。
つまりどれだけ量子情報が絡み合っているかを調べると、裏側の時空がどのように曲がっているかが分かる、というわけです。
こうした関係式のおかげで、「時空の形そのものが、量子もつれから生まれているのではないか」という見方が、一気に現実味を帯びてきました。
そこで今回研究者たちは、「あらかじめ決めた“時空の設計図”に合わせて、内部の粒子を観測することで、その観測操作を利用して“時空もどき”を外側の平面に立ち上げようとした」のです。
果たしてそんな理論は構築可能なのでしょうか?



























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