生まれたてのTレックスはイエネコくらいの大きさ?
Tレックスは世界で最も有名な恐竜の一つですが、その誕生直後の姿はほとんど分かっていません。
巨大な成体の骨は見つかりやすく、発見されれば研究者の注目も集まります。
一方、赤ちゃんの骨は小さく壊れやすいうえ、全身骨格ではなく、ばらばらの骨として見つかることが多いため、採集されても種類を特定されないまま収蔵庫に置かれがちです。
実際、これまでティラノサウルス科の孵化直後の個体に確実に分類できる骨は報告されておらず、その幼少期は大きな空白となっていました。
そこでチームは、北米の後期白亜紀の地層から集められた博物館資料を調べ、小さな足の骨、顎の一部、抜け落ちた歯を探しました。
調査の中心となったのは、カナダ・サスカチュワン州のフレンチマン層で見つかった左脚の第3中足骨です。
これは足の中央に位置し、体重を支える重要な骨です。
骨には、表面のくぼみや裏側の隆起など、ティラノサウルス科に特徴的な形が残されていました。
さらに、同時代に生息していた恐竜との比較から、この標本はTレックスのものと判断されました。
チームは、顎や小さな歯についても、歯の太さや断面形状、縁に並ぶギザギザなどを比較し、Tレックスに特徴的な構造と一致することを確認しました。
つまり今回見つかったのは、赤ちゃんTレックスの完全な骨格ではありません。
博物館の引き出しに眠っていた断片的な骨と歯を、一つずつ解剖学的に読み解くことで、これまで知られていなかった成長段階の姿を復元したのです。
ただし、主な足の骨を残した個体は、卵から出た直後に死んだわけではありません。
骨の内部には孵化後に形成されたとみられる層があり、研究者らは、この個体が孵化してから数週間から数カ月ほど生存していた可能性があると考えています。
死亡時の全長は約70~75センチ、体重は約2.5キログラム以下と推定されました。
さらに、孵化後に成長した分を差し引くと、卵から出た時点の体重は約1.7キログラムだったと見積もられます。
数トンに成長するTレックスも、最初は小型のネコほどの重さから出発していたのです。






























