30時間眠らなかった後、「20分の運動」と「90分の仮眠」を比較
睡眠は、すでに覚えた情報を定着させるだけでなく、新しい情報を記憶として取り込むためにも重要です。
過去の研究では、一晩眠らないだけでも、新しいエピソード記憶を形成する能力が低下することが示されてきました。
一方、通常の覚醒状態では短時間の有酸素運動が記憶を助けることがあり、睡眠不足の状態では仮眠が覚醒度や気分の改善に役立つことも報告されています。
しかし、強い睡眠不足の後に運動が記憶をどこまで守れるかについては研究が少なく、これまでの結果も一貫していませんでした。
また、完全な睡眠不足の後では、30分や60分の仮眠で一部の認知機能が十分に回復しなかった研究もあります。
そこで研究チームは、20分の有酸素運動と90分の仮眠が、30時間起き続けた後の新しい記憶形成をどの程度守れるのかを直接比較しました。
実験には18〜35歳の健康な成人54人が参加し、全員が起床してから30時間連続で眠らずに過ごしました。
その後、参加者は無作為に3つのグループへ振り分けられました。
運動群はエアロバイクを使い、最大心拍数の80%に相当する強度で20分間運動しました。
その前後には、それぞれ3分間のウォームアップとクールダウンも行っています。
仮眠群には研究室で90分間の睡眠機会が与えられ、対照群はエアロバイクに20分間座ったまま運動しませんでした。
介入終了から30分後、参加者は150枚のカラー画像を見ました。
この段階では、後で記憶テストを行うことは知らされていません。
3日後、以前見た150枚の画像と新しい75枚の画像を混ぜて提示し、それぞれについて「前に見た画像か」を答えてもらいました。
研究チームは、以前見た画像を正しく「見た」と判断できた割合を、記憶成績の主な指標としました。
その結果、この割合は対照群よりも運動群と仮眠群で有意に高くなりました。
しかも、運動群と仮眠群の間には有意な差が確認されませんでした。
さらに興味深いのは、主観的な疲労感への影響が両者で異なっていたことです。
仮眠群では介入後に疲労感が大きく低下しましたが、運動群と対照群の間には有意差がありませんでした。
つまり運動群は、対照群と同程度に疲労を感じていたにもかかわらず、より高い記憶成績を示していたのです。
今回の条件では、20分の運動と90分の仮眠はいずれも、強い睡眠不足後の新しい記憶形成を保護する効果を示しました。
しかし、なぜ一方は実際に眠り、もう一方は体を動かしたにもかかわらず、似たような記憶成績につながったのでしょうか。






























