Credit:OpenAI,ナゾロジー編集部
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睡眠不足時の脳のリフレッシュには、仮眠と運動どっちが有効なのか? (2/2)

2026.08.29 21:00:45 Saturday

前ページ30時間眠らなかった後、「20分の運動」と「90分の仮眠」を比較

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運動と仮眠は「違う方法」で記憶を守っていた

この疑問を調べるため、研究チームは画像を見る際の脳活動を64チャンネルの脳波計で記録しました。

ここで注目したのは、大きく分けて「画像を見る直前の脳の状態」と「画像を見た後に起こる記憶形成に関係した活動」です。

仮眠群では、前頭部で睡眠圧の指標とされる徐波活動が対照群より低くなっていました。

また、記憶課題に関係する領域でも、画像を見る前のデルタ活動が最も低くなっていました。

さらに仮眠群では、画像提示前のシータ活動など、情報が入ってくる前の脳状態を示す指標が、その後の記憶成績と強く関係していました。

研究者らはこの結果について、仮眠によって睡眠圧や神経疲労が軽減され、脳が新しい情報を受け入れやすい状態になった可能性があると解釈しています。

一方、運動群では、仮眠群のような前頭部の睡眠圧の低下は確認されませんでした。

代わりに記憶成績と結びついていたのが、画像を見た後に生じるP300とベータERDという脳活動でした。

P300は必要な情報に注意を向ける際などに現れる電気的な反応で、ベータERDは情報処理のために神経活動の状態が切り替わることに関係する指標です。

運動群では、これらの活動が強く表れた人ほど、画像を正しく覚えている割合も高いという関連がみられました。

研究チームは、運動が睡眠不足そのものを解消したというよりも、睡眠不足の脳に残されている神経資源を、記憶形成のために効率よく利用できるようにした可能性を指摘しています。

一方、何もしなかった対照群では、P300が高い人ほど疲労感も強い傾向がありましたが、その活動は記憶成績の向上には結びついていませんでした。

研究者らは、対照群では睡眠不足の脳が課題に対応しようと神経資源を動員していても、それが効率的な記憶形成にはつながらない「代償的な努力」を反映していた可能性があると考えています。

このように、仮眠は記憶する前の脳状態を整え、運動は情報が入ってきたときの処理を支えるという、異なる経路から似た記憶成績につながった可能性があります。

ただし、結果の範囲には注意が必要です。

以前見た画像を正しく認識できた割合は、対照群の0.46に対して、運動群では0.56、仮眠群では0.57でした。

対照群と比べると相対的にそれぞれ約21%、約23%高い値ですが、新しい画像を誤って「以前見た」と判断する割合には群間差がなく、既出画像と新しい画像を総合的に見分ける能力を示すd′にも有意差はありませんでした。

そのため、「運動や仮眠で記憶力全般が22%向上した」とまでは言えません。

また、対象は健康な18〜35歳で、研究室で一度だけ30時間眠らせないという条件でした。

日常的に少しずつ睡眠が不足している人や、長期間夜勤を続けている人でも同じ結果になるかは分かっていません。

運動と仮眠の時間も20分と90分で異なっているため、両者の効果を単純に同等とみなすことはできません。

それでも、医療や運輸、交代勤務など、十分な仮眠時間を確保しにくい環境では、短時間の運動が睡眠不足による認知機能低下を和らげる別の選択肢になる可能性があります。

ただし研究者らも、運動が睡眠のさまざまな機能を置き換えられることを示した研究ではないと明確に述べています。

今後は実際の職場環境で、医療ミスや運転時の車線逸脱など、現場に即した指標でも効果を検証する必要があります。

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