自傷によって脳の接続が失われ「恐怖」が壊れる
今回の研究では少女たちの脳も、MRIを用いて調査されました。
具体的には、MRI内部で「恐怖画像」を見てもらい、恐怖を司る偏桃体と理性を司る前頭皮質の間のつながりを調べるのです。
この恐怖と理性のつながりが機能していると「動物園でクマを見ても怖くないが、森で合うクマは恐い」と判断できます。
しかし調査の結果、重度の自傷行為を行っている少女たちは恐怖画像によって偏桃体が活性化せず、偏桃体と前頭葉の接続も低くなっていると判明します。
再びクマでたとえるならば、動物園であうクマと森であうクマの怖さの違いが認識できないだけでなく、クマそのものにも怖がらなくなっている状態と言えるでしょう。
研究者たちは自傷を繰り返すことで、恐怖と理性を管理する回路が「摩耗」してしまっていると考えました。