自虐ネタが好きな人は特殊な脳構造をしていおり創造性が干渉する
自虐ネタを起こしている神経メカニズムはどんなものなのか?
謎を解くため、研究者たちは280人の被験者たちのユーモアのスタイルを調査し、次にMRIを使って被験者たちの脳構造を詳細に調べました。
結果、自虐ネタを好んで使用する人々では、左眼窩前頭皮質と呼ばれる左目の奥にある脳領域において、灰白質のサイズが他のユーモアを好む人々に比べて大きいことが判明します。
眼窩前頭皮質は意思決定や認知機能、価値評価にかかわる領域であり、ユーモアの生成とも深く関連しています。
自虐ネタを生成するには一度自分の価値を落としてから上げるという鋭い価値判断が必要になります。
また自虐ネタは自分を正確に認識する高い認知機能が備わっていなければ、ユーモアとして成立させることができません。
そういう意味では、眼窩前頭皮質の脳機能(灰白質)が強い人は、自虐ネタの使い手になる素質があると言えるでしょう。
続いて研究者たちは被験者の発散的創造性をテストによって評価しました。
発散的創造性とは発想力に代表される自由度の高い状態での創造性を意味します。
創造性豊かな大物たちの例をみても、自虐ネタが成功するかどうかは高い創造性にかかっている可能性があったからです。
結果、高い創造性を持つ人の場合、自虐ネタ好きであることと眼窩前頭皮質の灰白質が大きいことは強く関連していました。
一方で、創造性が低い人の場合、両者の関係は低くなっていました。
どうやら自虐ネタと脳構造の間には関連があり、創造性はそれらの要素に干渉しているようです。
「大物ほど自虐ネタを使いこなすのが上手い」ということがよく言われていますが、その根源にあるのは創造性の高さと特殊な脳構造なのかもしれません。
研究者たちは今後も、ユーモアの背後にある神経基盤を解明していくとのこと。
もしユーモアと脳の関係が解明されれば、自分がどんなお笑い芸人に向いているかを事前に診断できるかもしれません。