妊婦のストレスが子どもの発達に影響する
コロナウイルスの感染は関係せず、パンデミック中の出産が問題になるというのはどういうことなのでしょうか?
これは、妊婦が受けるストレスが子どもの発達に重要であることを意味していると考えられます。
たとえば、以前の別の研究では、アイスストーム(冬季に起こる嵐)が発生したカナダのある地域では、その期間中に出産された子どもは、同じように発達遅延が起きる傾向が示されています。
こうした傾向は、大きなテロ事件が起きた後のヨーロッパでも見られたという話があります。
妊娠中の女性が、自由に外へ遊びに出かけられないなど、ストレスが強い環境に長期間置かれた場合、それは乳児の発達に影響を与える可能性があるのです。
これが、パンデミック中に生まれた赤ちゃんに見られる運動能力と社会的スキルの低下を説明していると考えられます。
今回の研究では、母親のストレスレベルなどの調査はされていないため、まだ明確な部分はわかっていません。
ただ、研究者は、今回の調査結果について「乳児に見られた発達スコアの違いは、非常に僅かなものです」と注意を述べています。
これは非常に乳児の発達の初期段階の僅かな変化であり、その後の発達を改善させる機会は豊富にあるため、最終的に子どもの成長に大きな影響を与えるものではないとのこと。
しかし、こうした傾向がある事実については、医学者として注意を向ける必要はあるだろうとしています。
いずれにせよ妊娠中のお母さんに、ストレスを与えるような要因はできる限り減らしたほうがいいのは確かでしょう。