惑星を歪ませる潮汐力
ラグビーボールというのは、左右に引っ張られて潰れたような形をしています。
系外惑星「WASP-103b」がこの様に歪んでしまった原因は、非常に近い距離にある主星との「潮汐力」によるものです。
要は重力のことですが、潮汐力というのは、単純に質量の大きい方へ引っ張る重力とは異なる力の掛かり方を表現しています。
公転する惑星に重力が掛かった場合、それは単に一方向へ引っ張るのではなく、釣り合いを取るように前後に引き伸ばすような形で力が働きます。
また重力のかかる方向と垂直に交わる方向には、逆に押しつぶすような力がかかるのです。
たとえば、地球では月との間に以下のような潮汐力が働いています。
月の潮汐力に地球を変形させるほどの力はありませんが、地球の海の形は変形させています。
それが潮の満ち引きとなってあらわれています。
もちろん、地球と太陽の間でも潮汐力は働いています。
ただ、地球と太陽の距離は遠いため、月よりもその影響は小さくほとんど確認することはできません。
しかし、ホット・ジュピターのような巨大な主星にかなり接近した惑星では、潮汐力で惑星自体の形が歪む可能性があります。
これは研究者たちが以前から予測していたことですが、実際、潮汐力で変形した惑星というものは、確認されたことがありませんでした。
そのため、今回のラグビーボールのように歪んだ系外惑星「WASP-103b」は、この理論を証明する初の発見となるのです。