若い男女にも「腹上死」は起きる!
これまでの研究で、性行為には、高血圧の緩和、免疫システムの強化、睡眠の改善、それから「鼻づまり」の改善(2021年イグノーベル賞受賞)など、心と体に大きな効果があることが判明しています。
一方で、古くから性行為の途中や直後に死亡する「腹上死」の存在が知られていました。
現在でも、服上死の発生率は、突然死全体の0.6%~1.7%を占めると言われています。
またドイツで行われた法医学研究は、突然死のほとんどが中年の男性(平均59歳)であり、原因の多くは心臓の血管が詰まる心筋梗塞と関連していると報告しています。
同様の結果は、アメリカやフランス、韓国でも報告されており、腹上死は主として中年男性にかかわる問題であると考えられていました。
しかし今回、セントジョージズ・ロンドン大の研究チームが、大学病院で記録された6847件の心臓突然死を分析したところ、腹上死が中年男性ばかりに限定しないことが示されました。
調査の結果、性行中または後から1時間以内に発生した心臓突然死は、全体(6847件)の0.2%にあたる17件であり、平均年齢は38歳と想定よりも遥かに若いことが判明。
また、症例の65%が男性、35%が女性で起きていました。
最も多かった死亡原因(53%)は、心臓のリズム異常による「不整脈死症候群」で、これまで言われていた心筋梗塞ではありませんでした。
心血管に問題がなくても、心拍のリズムが致命的に狂ってしまうと心臓が酸素不足に陥って心停止してしまい、腹上死を引き起こすようです。
心筋梗塞は加齢にともなう心血管のつまりが原因の1つですが、心拍リズムの問題は加齢とは異なる仕組みで発生しているのかもしれません。