強毒化したエイズウイルス変異株を発見!
エイズウイルスは体内の免疫細胞(T細胞)に感染して破壊することで、人間から免疫力を奪う危険な症状を引き起こします。
また新型コロナウイルスと同じRNAウイルスであるエイズウイルスは変異が起きやすいことが知られており、さまざまなバリエーションが存在します。
そこでオックスフォード大学の研究者たちは2014年から、エイズウイルスのわずかな遺伝子変異が病状に与える影響を調べるための、継続的な調査を行っていました。
すると奇妙なことに、特定の遺伝子パターンのエイズウイルスに感染した17人の患者において、ウイルス量が異常に多いことが判明します。
興味をもった研究者たちは、より包括的な分析を行うため、オランダで確認されたエイズ陽性者のデータを調べました。
結果、521人のうち92人が変異株に感染していることが判明します。
変異株に感染した患者は他の株に感染した患者よりも3.5倍から5.5倍高いウイルス量を持っており、免疫細胞(CD4:T細胞)が破壊される速度も2倍になっていました。
またエイズの症状が発症するまでの時間を比較したところ、適切な治療がなければ変異株に感染した患者は2~3年以内に症状を発症することが判明します。
特に変異株に感染した30代が治療しなかった場合、感染が判明してからわずか9カ月で血中の免疫細胞レベルが極度に低下した「進行したエイズ」に陥ることが示されました。
他の株に感染した患者は同様の症状に至るまで6~7年の時間がかかっていることから、変異株が強毒化していると研究者たちは結論しました。
問題は、いつどのようにしてエイズウイルスの強毒化が起きたかです。