「磁気スライム」は変形して有害物を飲み込む
新しく開発された「磁気スライム」は、磁性粒子を含んだスライムです。
そのため磁石によってスライムを移動させたり変形させたりできます。
しかもそれらの動きは単純なものではありません。
O型やC型になったり、物体をつかんだりできるのです。
また非常に狭い隙間にも体を変形させて侵入することが可能。
さまざまな場面で活躍するスライムなのです。
A robot made of magnetic slime could be deployed inside the body to perform tasks such as retrieving objects swallowed by accident.https://t.co/EYpnx56vNO pic.twitter.com/zA3hMO80xQ
— New Scientist (@newscientist) March 31, 2022
では、どのようにして「自由自在に働く」ことが可能になったのでしょうか?
磁気スライムの秘密は、その材料にあります。
このスライムは、水に溶ける樹脂「ポリビニルアルコール」、洗剤やスライムに利用される「ホウ砂」、非常に強い磁力をもつ「ネオジム磁石」の粒子を混ぜ合わせることで作られています。
これにより外部磁石で操作でき、しかも「ある時は固体のように、また別の時は液体のように振る舞う」という性質を獲得しました。
後半の性質は、水とコーンスターチを混ぜて作れる「非ニュートン流体」の性質です。
「非ニュートン流体」は聞き慣れない用語ですが、これはゆっくりと力を加えると液体のように作用しますが、素早く力を加えると固体のように硬くなるというものです。
磁気スライムは、この性質を磁力で使い分けます。
ある時は硬くなって物をつかみ、またある時は液体のように柔らかく形を変えるのですね。
研究チームは、将来的に磁気スライムが医療現場で役立つと考えています。
例えば、消化器官にスライムを潜り込ませ、飲み込んでしまった小型電池を包んで有毒な物質が漏れ出さないよう隔離できるかもしれません。
とはいえ、現在この磁気スライム内の磁性粒子は人体に有毒なため、実用化するにはいくらか改良が必要でしょう。
あらゆる分野で活躍する磁気スライム。今後の進展に期待できます。