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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
technology

「パンくず」から「水素」を生み出す新技術の開発に成功

2026.04.03 18:00:19 Friday

パンくずが、未来のエネルギーになるかもしれません。

私たちが日常的に捨てているパンの切れ端が、環境問題の切り札となる可能性があるのです。

英エディンバラ大学(The University of Edinburgh)の研究チームは、食品廃棄物であるパンくずから水素を生み出し、それを使って化学反応を進める新技術を開発しました。

では、なぜパンくずが水素になるのでしょうか。

そして、それはどれほど画期的なことなのでしょうか。

研究の詳細は2026年2月23日付で科学雑誌『Nature Chemistry』に掲載されています。

Chemists make hydrogen from breadcrumbs in groundbreaking reaction that could replace some fossil fuels https://www.livescience.com/chemistry/chemists-make-hydrogen-from-breadcrumbs-in-groundbreaking-reaction-that-could-replace-some-fossil-fuels
Native H2 pathways enable biocompatible hydrogenation of metabolic alkenes in bacteria https://doi.org/10.1038/s41557-025-02052-y

パンくずが「水素」になる仕組みとは?

今回の研究の核心は、「微生物」「金属触媒」を組み合わせた点にあります。

金属触媒とは、簡単にいうと、金属を使って、化学反応を速く・効率よく進める“手助け役”のようなものです。

通常、化学工業で使われる水素は、天然ガスなどの化石燃料から作られています。

しかもその過程では、水素1キログラムあたり15〜20キログラムもの二酸化炭素が排出されるため、大きな環境負荷が問題になっていました。

そこで研究チームは、「そもそも水素を自然から取り出せないか」と考えます。

注目したのは「大腸菌」のような細菌です。

これらの細菌は、酸素のない環境で活動すると、水素ガスを自然に発生させる性質があります。

つまり、細菌は“水素を作る小さな工場”のような存在なのです。

ただし、ここで問題がありました。

水素を作ることはできても、それを化学反応に使うには別の仕組みが必要だったのです。

そこで登場するのが「触媒」です。

研究チームは、パラジウムという金属を使った触媒を細胞の表面に配置しました。

すると、細菌が放出した水素がすぐに金属触媒(パラジウム)に捕まえられ、その場で「水素化反応」が進むようになったのです。

水素化反応とは、分子に水素を加える反応で、食品の加工やプラスチック、医薬品の製造など、私たちの生活を支える多くの場面で使われています。

つまりこの研究は、

「細菌が水素を作る」

「その水素をすぐに化学反応に使う」

という2つの工程を、ひとつのシステムにまとめることに成功したのです。

さらに驚くべきことに、このシステムは非常に効率的で、最大で94%という高い収率で目的の化学物質を作り出すことが確認されています。

次ページ「パンくず」が「資源」に変わるとき

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