脳と関係しない睡眠は何を意味するのか?
人間を含む哺乳類は、メラトニンと呼ばれるホルモン分泌が睡眠を促しています。
九州大学の研究では、ヒドラにおいてもメラトニンが睡眠を誘導する作用があることを確認しています。
これは脳を生物が獲得するはるか以前から、生物は睡眠の機能を獲得していたことを示唆しています。
これは脳があるから睡眠が必要という定説を揺るがすものです。
では、なぜヒドラのような生物たちに睡眠が必要なのでしょうか?
その疑問に正確に答える材料は現在ありません。
研究者たちは身体の維持・成長に睡眠が重要な可能性を考えていますが、いずれにせよ睡眠が脳とは関係なしに深く生物と結びついている状態なのは確かなようです。
私たちにとって睡眠とは、意識を奪うイレギュラーな状態のように思えます。
しかし、生物の起源を辿っていくと、むしろ眠っている状態こそが生物のデフォルト状態であり、外界を認識する能力の獲得と共に、生物は仕方なく少しずつ覚醒状態を進化させていった可能性が見えてきます。
寝ているときこそが生物の本来の姿というのは、非常に興味深い着眼点です。
けれどその場合、活動して考える我々とは何なのでしょうか? 意識を持つ私たちにとって、それはちょっとした恐怖かもしれません。
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