自殺や自傷について考えるとストレスが軽減される
自殺を考える自殺念慮(希死念慮とも)や自らの体を傷つける自傷行為は、生き延びようとする生存本能に大きく反する行いです。
しかし意外なことに、10代から20代の5分の1が1度は自殺を真剣に考えたり、自傷行為の経験があることが判明しています。
自殺念慮の場合は、楽に死ねる方法や場所を探したり、死ぬ間際の自分をイメージするといった内容も含まれます。
またリストカットのような流血を伴うものだけでなく、毛をむしったり、手や足の皮を剥いたりといった軽度のものも、医学的には自傷行為として認識されます。
リスカなど自傷行為の根底にある脳のメカニズムを解明https://t.co/Gi5fF18gz0
ミネソタ大は自傷行為する少女たちを集め圧迫面接でストレス反応を調査。結果彼女たちはストレスと戦うためのホルモンが低下していて自傷行為がそれを改善していると判明。自傷行為の脳科学的な理由が一部解明されました pic.twitter.com/Y844ksGjMR
— ナゾロジー@科学ニュースメディア (@NazologyInfo) November 29, 2021
一方、こうした自殺念慮や自傷行為には一時的に「苦しみを取り去る」効果があることが、複数の研究によって報告されていました。
ただ、これまでの研究はどれも小規模であり、調査方法もまちまちなために、結論は持ち越されていました。
そこで今回、ワシントン大学の研究者たちは、既存の38件の研究報告をまとめることで、総計1600人にも及ぶデータを分析することにしました(メタ分析)。
結果、自殺念慮と自傷行為の両方の直前に高レベルの精神的苦痛が存在しており、実行後にはストレスが大幅に解消されていることが判明しています。
どうやら自殺を真剣に考えた後やリストカットをした直後に「気分が良くなる」という現象は、本当に起きているようです。
しかし、本来ならネガディブ感を加速させる自殺や自傷がなぜ、精神的苦痛を減らしたのでしょうか?