夜間に僅かな電力を生成!今後の発展に期待
熱放射ダイオードは、太陽光の働きを利用しています。
日中、地表が太陽光で温められると、夜にこのエネルギーが赤外線として宇宙空間に放出されます。
熱放射ダイオードは赤外線の放射から電力を生成できるので、このプロセスに挿入することで、夜でも発電できるのです。
太陽光発電と言えば、太陽光エネルギーが地球に入ってくるときに発電する「ソーラーパネル」が一般的です。
しかし今回開発された熱放射ダイオードは、太陽光エネルギーが地球から出ていくときに発電するものなのです。
そして実験により、この新しいプロセスでの発電が実証されました。
ただし発電量は1平方メートルあたり2.26ミリワットと、ソーラーパネルの約10万分の1でした。
現段階では一晩中発電しても、朝に一杯のコーヒーを沸かすことさえできません。
とはいえチームは、赤外線放射による発電が実証できたこと自体に価値を見いだしています。
「理論的には、ソーラーパネルの10分の1程度の電力を生み出すことが可能」と述べており、今後の進展に期待できるからです。
都市部で夏場に起こる熱帯夜は、日中に吸収された太陽光の放射熱によって起こります。
このことを考えるとかなりのエネルギーが夜間に放射されていることは想像できるので、これを発電に利用できるならば有用な技術になるだろうと期待できます。
もちろん赤外線による熱放射は、熱帯夜に限らずあらゆる温度を持つ物体が行っているものです。
そのため熱放射ダイオードの性能が大きく向上するなら、かなりの電力を引き出せるかもしれません。
この研究が、太陽光発電の分野を越えて、バッテリー不要のテクノロジーを生み出すきっかけになるかもしれないのです。