脳室内出血と治療用チューブの詰まり
脳の内部には「脳室(のうしつ)」と呼ばれる髄液で満たされた空間があります。
ところが脳内で出血があると、それらの血液が脳室内部に流れ込み、血液の塊である「血腫」をつくります。
この出血と症状のことを、「脳室内出血」と呼びます。
そして脳室内の血腫が大きくなると、髄液の生産や循環を阻害。
脳室内の髄液量のバランスが崩れることで、「水頭症」を引き起こしてしまうのです。
水頭症になると、歩行障害、めまい、物忘れ、また尿失禁など、脳機能にトラブルが生じてしまいます。
水頭症はいわば「頭に水(液体)がたまった状態」であるため、これを治療するには、脳室にたまった血腫や余分な脳髄を、チューブを使って排出しなければいけません。
しかしこの排出作業はすぐに終わるものではありません。
入院してチューブから外に排出するケースもありますが、場合によっては、頭とお腹の中にある腹腔をチューブでつなぎ、血腫や髄液を一定期間排出し続けるような手法も取られるほどです。
そして、ここでも問題が生じます。
このチューブが血腫で詰まることがあるのです。
これに対処するための方法としては、抗凝血剤(血液をサラサラにする薬)の使用があります。
ただこの薬には副作用も多く、使用にはリスクが伴います。
そこで研究チームは、血腫によるチューブ詰まりを物理的に解消するマイクデバイスを開発することにしました。