血腫を破壊する磁性マイクロデバイス
開発されたマイクロデバイスは、脳室内出血や水頭症を治療するためのチューブ内で働きます。
このマイクロデバイスには電源も複雑な回路も組み込まれていません。
外部の磁場によって動作し、血腫を取り除いてくれるのです。
リー氏は、この仕組みについて次のように説明しています。
「コンパスに磁石を近づけると、針はその磁場に応じて動きます。
同じようにこのマイクロデバイスも、周囲の磁場が変化することで、血腫を破壊するのに十分な力で動作します」
大掛かりな手術や出血のリスクを負わずに、チューブ内の詰まりを解消できるというのです。
有効性を確かめるため、ブタを使った実験も行われました。
脳室内出血を誘発したブタに対して、治療のために頭と腹部をチューブで繋げて、血腫や余分な髄液を排出していったのです。
そしてチューブ内に新しいマイクロデバイスを配置し、詰まることなく血腫を除去できるか、6週間にわたって観察しました。
その結果、7頭のモデルのうち6頭で成功し、86%の有効性を示すことができました。
同時にマイクロデバイスが配置されていない別の6頭の対照モデルでも検証しましたが、全てのブタがチューブの詰まりによって死亡。
このことから、新しいマイクロデバイスが、患者の生存率を極めて向上させると分かります。
今後、人間でも適用されるなら、脳室内出血で苦しんでいる多くの人を救うことになるでしょう。