巨大隕石の衝突が大陸を作ったと判明!
かつて地球の表面はほぼ完全に水に覆われていました。
しかし今から39億年~35億年前になると、その後の大陸の核となる、比重の軽い岩石で構成された部分が形成されるようになったことが知られています。
大陸核は周囲の岩石に比べて軽いため、地球の最表面に浮き上がって陸地となって顔を出すことができたのです。
興味深いことに、地球上に大陸核が出現する時期(39億年~35億年前)は、地球上に大量の隕石が降り注いだ重爆撃期(41億年~38億年前)の終わりごろと一致しています。
そのため大陸核の起源として、火山など地球内部の力によって作られたとする従来の説に加えて、隕石など地球外部の力によって作られたとする説も存在していました。
しかし、大陸核が降り注ぐ隕石によって作られたとする直接的な証拠は乏しく、あまり人気のある仮説ではありませんでした。
そこで今回、カーティン大学の研究者たちは、オーストラリア西部に存在する最古の大陸核(ピルバラ・クラトン)を調査することにしました。
調査にあたっては、地殻のジルコン結晶に含まれる酸素同位体(酸素18と酸素16)の比率が調べられました。
ジルコンは岩石が溶けて固まる過程で構成される小さな結晶であり、火山噴火や隕石の衝突によっても生成されるありふれた鉱物で、ジルコンに含まれる酸素同位体の比率を調べることで、岩石が何度で形成されたかを調べることが可能になります。
研究者たちが分析を行った結果、大陸核(ピルバラ・クラトン)が隕石の衝突からはじまる3つの異なる段階によって形成されたことが判明しました。
以下では図を用いて解説を行いますが、忙しい人は1ページ目の最後にザックリ説明があるのでそこまでロールしてください。
第1段階ではまず、隕石の衝突による熱と衝撃で地殻の融解が起こり、ジルコン結晶が形成されることからはじまります。
落下地点には巨大なクレーターが形成されると共に、巨大津波が発生します。
水を浅く張ったコンクリートのプールに鉄球を打ち込むと、プールの底に穴ができて水しぶきが起こるのと同じ現象と言えるでしょう。
しかし地球はプールの底とは違い、弾力性に富んでいます。
隕石の落下によって表面部分がはぎとられると、その部分が抑えていた圧力が解放され、地球内部からマントルの上昇が起こります。
通常、マントルは圧力によって押し固められて固体状となっていますが、地球表面に近づいて周囲の圧力が低下すると溶けてマグマになり、地殻の底にくっついて再び冷却されていきます。
この過程が繰り返されるにつれて、地殻の一部が上下左右に拡大して巨大な地殻の塊が作られていきました。
マントルの上昇の勢いが衰えてくると、地殻の塊の成長はひと段落し、次の段階に入ります。
シミュレーションによれば、直径30kmの隕石が秒速20kmの速度で地球に衝突した場合、直径約600km厚さ150kmの地殻の塊が形成されると判明しました。
この地殻の塊が、次の第2第3ステージを経て、大陸核となっていきます。
第2段階では、この地殻の塊が主役になります。
マントル上昇という大きな流れが終わると、核の中で重い岩石が徐々に沈み始めます。
しかし表面には巨大なフタがされて圧力が保たれているため、沈み込みを起こしたぶん、圧力を維持するには別のものが浮き上がらなければなりません。
浮き上がりの対象となるのは、地殻とマントルの間で部分的に融解していた花崗岩など(TTG)あり、地殻の内部にはポケット状に溜まり始めます。
結果、地殻の塊は全体として比重が軽くなり、単独で浮き上がりはじめます。
第3段階は主に地殻内部での融解と花崗岩の形成の時期であり、浮き上がり始めた地殻の塊が大陸核として機能し始め、徐々に周囲に陸地が形成されていきます。
以上をザックリと簡単に言えば、隕石落下によってできた地殻の穴を埋め戻してみたものの、埋め立てた部分の密度が低下してしまい、浮き上がって大陸核になった……となるでしょう。