一部のカエルは鳴き声と同時に振動を感じると交尾しやすくなると判明
カエルの鳴き声や鳥の鳴き声のように、空気中を移動する音波はさまざまな動物たちにおいて、求愛や縄張りの主張を含むコミュニケーション手段として使われています。
しかし、空気を振動させる音波はその性質上、動物たちのまわりの土や水、植物なども同時に振動させる効果をうみます。
これまで動物たちの鳴き声にかんする数多くの研究がなされてきましたが、不思議なことに物体の振動が果たす役割についてはほとんど研究されておらず、交尾に及ぼす影響も未知でした。
特にカエルから発せられる鳴き声(音波)が周囲の物体を振動させる効果があることは誰もが知っていましたが、それはあくまで副次的な効果であり、物理的振動が何らかの信号になっているとは、誰も考えなかったのです。
そこで今回ゲティスバーグ大学の研究者たちは交尾時のカエルたちを対象として、鳴き声だけを聞いたときと、鳴き声を聞くと同時に振動を感じる「コンビネーション刺激」を行った場合に違いがあるかどうかを調べることにしました。
実験にあたってはまず、63匹のアカメアマガエルのオスから283回の鳴き声を録音しました。
次にY字型の枝の先端にそれぞれ1個ずつスピーカーをセットし、片側の通路のみに振動装置を仕掛けました。
準備がととのうと研究者たちは、アカメアマガエルのメスをY字の枝の根元部分に配置し「鳴き声のみ」「振動のみ」「鳴き声と振動のコンビネーション刺激」「鳴き声も振動もなし」の4つの条件を設定し、メスがどの条件を最も好み音源に近づくかを比較しました。
結果、メスの68%が鳴き声と振動の両方を含むコンビネーション刺激を行っている方向に移動し、その他の条件(32%)の2倍以上もの確率で選んでいることが判明します。
この結果は、アカメアマガエルのメスが交尾相手を選択するにあたって、鳴き声(音波)に加えて、同じタイミングで発生する枝などの振動も重視していることを示します。
しかしより興味深いのは、音波と振動のコンビネーション刺激を感知したオスの反応でした。
ライバルのコンビネーション刺激を受けたオスたちはいったいどんなリアクションをみせたのでしょうか?