人間そっくりな「アンドロイド」を目指す理由
私たちが人型ロボットに求めるのは人間をサポートする「働き」であり、その「機能」です。
機能のない「リアルなマネキン」が欲しいわけではないのです。
そう考えると、「人型ロボットを人間そっくりに作る必要があるのか?」という疑問が生じます。
その答えは、多くの用途に置いて「No」です。
ロボットが人間の仕事をサポートするのに、大抵のケースで「人間のような5本の細い指」は必要ありません。
特定のタスクに優れた「特化型のデザイン」を用いるのが一般的であり、その方が「人間の手」よりも作業効率が高まります。
では、クローン社が人間そっくりなアンドロイドやロボットハンドを開発するのはなぜでしょうか?
クローン社はそのメリットについて、「世界中の物は、人間の手で扱うようデザインされています」と述べました。
アンドロイドが人間そっくりの手を備えるなら、これまでに作られてきた世界中の道具を自由自在に扱える、というのです。
また、「インターネットには、過去30年間で、何百万時間もの人間の動画データが保存されており、これらがロボットの脳をトレーニングするのに役立つ」とも述べています。
ロボットハンドを自由自在に動かすためには「AIトレーニング」が必須ですが、そのためのデータが十分にそろっているのです。
現代では、人間の模倣にこだわらないロボットこそが「すぐに役立つロボット」です。
しかし模倣にこだわったアンドロイドの開発を続けていけば、それが完成したとき、従来のロボットとは一線を画す汎用性が手に入るでしょう。
人工筋肉によるロボットハンドを開発したクローン社は、また一歩、その到達点に近づきました。