ロボットに「口汚い言葉」を使用させる実験

ロボットと聞いてまず想像するのは、冷静沈着で感情を持たない存在かもしれません。
ですが、近年の人間とロボットの関係性を考えると、ロボットに「感情」や「人間らしさ」があると、むしろ信頼感や親しみやすさが高まる傾向にあります。
たとえば、失敗したときに「ごめんなさい」と謝るロボットは、それだけで人間から好印象を得ることが知られています。
人は感情を持ち、ミスをしたときにそのことを表現する生き物です。
そのため、ミスを淡々と処理するロボットよりも、なにか感情を示すロボットの方が「仲間」として感じやすいのかもしれません。
このような背景を踏まえ、研究チームは、「あえて社会的に“失礼”とされるような口汚い言葉をロボットに使わせたらどうなるのか?」という斬新な問いを設定しました。
研究は3段階で行われました。
まず1つ目は、大学生76人を対象としたオンラインビデオ実験です。

移動しながら物体を操作できる家庭向ロボットが、「カップを倒す」「ペンを落とす」「テーブルにぶつかる」などのちょっとした失敗動画が用意されました。
このミスに対してロボットは次の3パターンの反応を示しました。
- 無言
- 軽い感嘆詞(”Oh no!”, “Oops”など。日本語例:「おっと!」など)
- 口汚い言葉(”Oh f○○k!”, “S○○t!”, “Godd○○○it!”など。日本語例:「くそっ!」など)
動画を見た参加者は、ロボットの親しみやすさ、知能、好感度、ユーモア度、そして不快感などを評価しました。
2つ目の実験では、同じ設計で一般の米国成人(98名)を対象にオンライン実験を行い、学生以外の反応を調査。
3つ目は、実際のロボットを用いた現場での検証です。
大学キャンパス内で、ロボットがテーブルにぶつかるという小さなミスを起こし、対面した52人の学生に評価をしてもらいました。
では、失敗した時に思わず言葉を発するロボットに対して、人はどんな印象をもったのでしょうか。