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人は口汚い言葉を吐くロボットに親しみを感じることがある / Credit:CanvaGenerated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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人は無言のロボットより「口汚いロボット」の方に親しみを覚える

2025.06.10 11:30:38 Tuesday

ロボットと言えば、アクシデントが起こった時にも冷静で静かなイメージがあります。

たとえ皿を落としても、壁にぶつかっても、淡々と作業を続けるその様子に、私たちは「機械らしさ」を感じるのかもしれません。

ですが、もしロボットが「うわ、クソ!」と叫んだら? 

それを聞いたあなたは不快に思うでしょうか?それとも、ちょっと親しみが湧くでしょうか?

アメリカ・オレゴン州立大学(OSU)の研究者たちは、まさにこの問いに挑みました。

ロボットがミスをした時に、あえて口汚い言葉を発したら、人間はどう感じるのか? というテーマで、3段階にわたる実験を実施したのです。

研究の詳細は、2025年5月9日付でプレプリントサーバー『arXiv』で発表されています。

Who Gives a S#!t About Cursing Robots? https://spectrum.ieee.org/cursing-social-robot-interaction
Oh F**k! How Do People Feel about Robots that Leverage Profanity? https://doi.org/10.48550/arXiv.2505.05831

ロボットに「口汚い言葉」を使用させる実験

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ロボットは無言がいい?それとも喋った方がいい? / Credit:Canva

ロボットと聞いてまず想像するのは、冷静沈着で感情を持たない存在かもしれません。

ですが、近年の人間とロボットの関係性を考えると、ロボットに「感情」や「人間らしさ」があると、むしろ信頼感や親しみやすさが高まる傾向にあります。

たとえば、失敗したときに「ごめんなさい」と謝るロボットは、それだけで人間から好印象を得ることが知られています。

人は感情を持ち、ミスをしたときにそのことを表現する生き物です。

そのため、ミスを淡々と処理するロボットよりも、なにか感情を示すロボットの方が「仲間」として感じやすいのかもしれません。

このような背景を踏まえ、研究チームは、「あえて社会的に“失礼”とされるような口汚い言葉をロボットに使わせたらどうなるのか?」という斬新な問いを設定しました。

研究は3段階で行われました。

まず1つ目は、大学生76人を対象としたオンラインビデオ実験です。

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ロボットがカップを倒してしまった時 / Credit:Naomi Fitter(YouTube)_What If Robots Cursed? These Videos Helped Us Learn How People Feel about Profane Robots(2025)

移動しながら物体を操作できる家庭向ロボットが、「カップを倒す」「ペンを落とす」「テーブルにぶつかる」などのちょっとした失敗動画が用意されました。

このミスに対してロボットは次の3パターンの反応を示しました。

  1. 無言
  2. 軽い感嘆詞(”Oh no!”, “Oops”など。日本語例:「おっと!」など)
  3. 口汚い言葉(”Oh f○○k!”, “S○○t!”, “Godd○○○it!”など。日本語例:「くそっ!」など)

動画を見た参加者は、ロボットの親しみやすさ、知能、好感度、ユーモア度、そして不快感などを評価しました。

2つ目の実験では、同じ設計で一般の米国成人(98名)を対象にオンライン実験を行い、学生以外の反応を調査。

3つ目は、実際のロボットを用いた現場での検証です。

大学キャンパス内で、ロボットがテーブルにぶつかるという小さなミスを起こし、対面した52人の学生に評価をしてもらいました。

では、失敗した時に思わず言葉を発するロボットに対して、人はどんな印象をもったのでしょうか。

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