画像
ヴェノムみたいに変幻自在なソフトロボットを開発。イメージ / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
robot

【どうやって?変幻自在】『ヴェノム』みたいな”物体”を開発(動画あり)

2025.10.24 11:30:10 Friday

マーベルの人気アンチヒーロー『ヴェノム』は、触手を伸ばして相手を捕まえたり、盾に変形して防御したりと、自由自在に体を変えられます。

そんなフィクションの世界の変幻自在な動きが、現実世界のロボットでついに実現し始めました。

イギリスのブリストル大学(University of Bristol)の研究チームは、「電場」を利用してワイヤレスかつ自在に変形・運動できる新しいソフトロボットを開発しました。

この研究成果は、2025年6月12日付で『Advanced Materials』誌に掲載されました。

Pioneering shapeshifting soft robot uses electric fields to swing like a gymnast https://www.bristol.ac.uk/news/2025/october/soft-robotics-breakthrough.html
Electric Field Driven Soft Morphing Matter https://doi.org/10.1002/adma.202419077

「電場」で自由自在に操れる素材を開発!ソフトロボットへ

これまでのロボットは、主に金属やプラスチックなど硬い材料でできており、腕や脚などの「部品」を正確に動かすことは得意でしたが、体全体を自在に変形させることは困難でした。

この制約を打ち破ろうとするのが「ソフトロボット」と呼ばれる分野です。

柔らかい素材を使うことで、生き物のように柔軟に動いたり、環境に合わせて形を変えたりすることを目指しています。

ただし、これまでの技術にはいくつかの壁がありました。

磁場、光、熱などを利用した操作は、大型装置や複雑な制御を必要とする場合が多く、反応速度や精密な動きの再現にも限界がありました。

そこで研究チームが注目したのが、電場(electric field)による駆動です。

電場を使えば、配線やバッテリーをロボット本体に内蔵しなくても、外部の電極から非接触で形状を制御できます。

これを実現するために、彼らは「エレクトロモーフィング・ゲル(e-MG)」という新しい素材を開発しました。

e-MGは、柔軟なシリコーンエラストマーに導電性の特殊な炭素ナノ粒子を混ぜ込んだゲル状の材料です。

これによって、柔らかさと導電性、さらに変形時の復元力を両立させています。

そしてこの素材を用いた「e-MGロボット」の大きな特徴は、電池や配線を持たず、薄型・軽量の電極から高電圧をかけて電場を発生させ、その力だけで本体が自在に変形・運動できる点です。

研究では、電極の形状や配置を工夫し、電場の強さや方向を変化させることで、ロボットが伸びたり曲がったり回転したりと、複雑な動きをとれることが確認されました。

これは従来の電気駆動ゲル(イオンゲルや誘電エラストマー)よりもはるかに高い応答速度と自由度を実現しており、「柔らかくても速く動く」ロボットの新たな方向性を示しています。

では、実際にその動きを見てみましょう。

次ページまるで『ヴェノム』!?自由自在に動くロボットの実力とは?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

ロボットのニュースrobot news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!