後ろ向きウォーキングは治療やリハビリに役立つ
人は立ったり前方に歩いたりするだけでも、体の多くの機能を使っています。
そして後ろ向きで歩くと、体は通常とは異なった処理を求められたり、より多くの負荷がかかりします。
こうした難易度の高い動きには、健康上のメリットも多いと考えられます。
例えば、脳や神経も後ろ向きウォーキングから益を得ます。
私たちが歩いたり立ったりできるのは、視覚、前庭覚(体の傾きや回転、スピードなどを感じる感覚)、固有受容覚(体の動きや位置を感じる感覚)など、さまざまな感覚を脳で調整しているからです。
後ろ向きで歩く場合には、このシステムにいつもと違った調整が必要になり、脳や神経はその余分な処理から多くの刺激を受けます。
実際、後ろ向きウォーキングは神経疾患や脳卒中後の患者のバランスと歩行速度の確認・治療するためにも採用されています。
また後ろ向きウォーキングによって安定性が得られ、膝の負担を軽減できます。
例えば、変形性膝関節症の治療では膝の負担を減らす工夫をしながら、膝を支える筋肉を鍛えなければいけません。
ここで役立つのが後ろ向きウォーキングだと言われています。
後ろ向きで歩くなら歩幅が狭くなり、下肢の筋持久力が向上。関節への負担が軽減されるのです。
ちなみに、筋力と安定性が鍛えられるというメリットは、健康な人が後ろ歩きしても得られます。
さらに後ろ向きウォーキングは、慢性的な腰痛をもつ人にも効果的です。
後ろ向きで歩くことで姿勢が変化し、腰椎を支える筋肉がより多く使用されるのです。
これにより鍛えられた筋肉は、日常動作で生じる負荷から腰を守ってくれます。
姿勢も安定するため、体の歪みも生じにくくなるでしょう。
そして後ろ向きウォーキングには治療目的以外にも、健康的なメリットが多くあります。