ワイヤレスで機能する触覚フィードバックスキン
ワイヤレスで機能する触覚フィードバックスキン / Credit:Xinge Yu(CityU)_CityU researchers develop wireless, ultrathin “Skin VR” to provide a vivid, “personalised” touch experience in the virtual world(2022)
technology

屋外でAR映像に触れられる!「ウェアラブル触覚スキン」

2022.12.19 17:00:58 Monday

私達が日常生活の中でAR技術を当たり前に利用するためには、デバイスを常に衣服のように身に着けている必要があります。

こうした見つける装置をウェアラブルデバイスと呼び、スマートグラスなど眼鏡のように見つけるモニタという形で実現しています。

しかし、ARで表示された映像を見るだけで、いつまでたっても触れられない状態では不便でしょう。

そこで今回、香港城市大学(CityU)生物医学工学科に所属するユウ・シン氏ら研究チームは、ワイヤレスで超薄型のウェアラブル「触覚スキン」を開発しました。

まるで皮膚のように薄く柔軟性があるこのデバイスは、屋外でも自然と身に着けられ、AR表示された映像に触れることができるようになるといいます。

研究の詳細は、2022年10月17日付の科学誌『Nature Machine Intelligence』に掲載されました。

CityU researchers develop wireless, ultrathin “Skin VR” to provide a vivid, “personalised” touch experience in the virtual world https://www.cityu.edu.hk/research/stories/2022/12/15/cityu-researchers-develop-wireless-ultrathin-skin-vr-provide-vivid-personalised-touch-experience-virtual-world
Encoding of tactile information in hand via skin-integrated wireless haptic interface https://www.nature.com/articles/s42256-022-00543-y

触覚グローブの次は「触覚スキン」

今回の研究を発表した香港城市大学(CityU)は、2022年9月に繊細な触覚を伝えるVRグローブを発表(こちらは機械工学科のジャンバオ・ヤン氏らグループ)しています。

繊細でリアルな「触覚を伝えるVRグローブ」がついに登場!

この触覚グローブも、電気刺激によって触覚をフィードバックを実現させており、細かく配置された電極によって解像度の高い刺激を手のひらに再現することができました。

ただ、あくまで室内でVRコンテンツを楽しむために設計されたものであり、常時装着するウェアラブルデバイスとしてデザインされていたわけではありません。

しかしこれからの時代は、VRだけでなく屋外で機能するAR技術に対して、触覚デバイスも対応する必要があると考えられます。

AR技術はデバイスを衣服のように常時装着していることが求められる
AR技術はデバイスを衣服のように常時装着していることが求められる / Credit:canva

例えば、AR表示された画面を操作したときの感触や、あるいはポケモンGOの様なアプリで「散歩中に公園で遭遇したポケモンに触る」といった感触を身につけたデバイスで再現する必要があるのです。

現在ARを「見る」ことに関してはスマートグラスというウェアラブルデバイスが存在しています。

しかし「触る」行為に関しては、それを実現する様なデバイスはまだありません。

外で利用するには、「デバイス全体の軽量化」「ケーブルの排除」「スマートな見た目が」が必須
外で利用するには、「デバイス全体の軽量化」「ケーブルの排除」「スマートな見た目が」が必須 / Credit:CityU Research & Technology(YouTube)_CityU researchers develop wireless, ultrathin “Skin VR”(2022)

このためにはVRグローブ用のようなものを、外で身に着けていても恥ずかしくなく、そもそも装着していることさえ忘れるような触覚デバイスへと進化させる必要があるのです。

そこで今回、生物医学工学科に所属するユウ・シン氏ら研究チームは、まるで皮膚のような触覚スキンを開発することにしました。

柔軟性のある極薄の触覚スキンは、まるで「第二の皮膚」

新しく開発された触覚スキン「WeTac」は、2つのデバイスで構成されています。

1つ目は手のひら全体を覆うヒドロゲル素材の電極スキンです。

触覚を与える薄くて柔らかいスキン
触覚を与える薄くて柔らかいスキン / Credit:Xinge Yu(CityU)_CityU researchers develop wireless, ultrathin “Skin VR” to provide a vivid, “personalised” touch experience in the virtual world(2022)

指を含む手のひら全体には32個の電極が点在しており、これら電極が特定の組み合わせで皮膚を刺激することで、手のひら全体をカバーしつつ、さまざまな触覚を提供してくれるのです。

テストでは、仮想テニスボールをキャッチしたり、仮想マウスが手の上を歩いたりする感覚を再現できました。

テストの様子。仮想テニスボールを握っている
テストの様子。仮想テニスボールを握っている / Credit:Xinge Yu(CityU)_CityU researchers develop wireless, ultrathin “Skin VR” to provide a vivid, “personalised” touch experience in the virtual world(2022)

またデジタルサボテンを触った時の少し不快なフィードバック(ただし痛みを伴うほどではない)も試してみたようです。

そしてこの触覚スキンの厚さはわずか220μm~1mmとのこと。

しかも非常に柔らかいので、触覚フィードバックを維持したまま、指や手を自由に動かすことができます。

ユウ・シン氏は、「より薄く、より柔らかく、より肌に優しく、ユーザーは手を自由に動かすことができます。まるで第二の皮膚のようです」と述べました。

これを活用するなら、「グローブや厚めのパッチから刺激が伝わる」という感覚から、「自分の皮膚で触れている」というよりリアルな感覚へと進化させられるでしょう。

腕に貼ったパッチでワイヤレス通信が可能
腕に貼ったパッチでワイヤレス通信が可能 / Credit:Xinge Yu(CityU)_CityU researchers develop wireless, ultrathin “Skin VR” to provide a vivid, “personalised” touch experience in the virtual world(2022)

こうしたデバイスを実現するためには、他に触覚スキンに電力を供給し、動作を制御する装置が必要になります。

そこで研究チームは、非常に軽量で薄いワイヤレスドライバーパッチも開発しました。

ドライバー全体の重量は19.2gであり、そのサイズは5cm×5cm×2.1mmと小型で、前腕に貼り付けるだけで機能させることができます。

ユーザーの動きを阻害せず、目立つこともありません。

Bluetooth 通信が可能。ウェアラブルなVR・ARデバイス
Bluetooth 通信が可能。ウェアラブルなVR・ARデバイス / Credit:CityU Research & Technology(YouTube)_CityU researchers develop wireless, ultrathin “Skin VR”(2022)

このデバイスはスマートフォンとのBluetooth 通信が可能なので、さまざまなアプリを通して制御することが可能になりそうです。

まさに現実と仮想の融合を可能にするウェアラブルな触覚スキンなのです。

公園でピカチュウと戯れるような将来は、すぐ近くまで迫っています。

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