人間の脳は1秒に4回も集中信号がオフになる
私たちの集中と脱集中を繰り返す能力の起源はどこにあるのか?
2018年に行われた人間とサルの集中力の性質を調べた研究によれば、人間の脳でもサルの脳でも、集中力を発揮ために必要な前頭葉の信号が1秒間の間に4回も中断していることが明らかになりました。
何かに集中して没頭していると感じているときは常に集中信号がオンになっているのではなく、250ミリ秒ごとにオフになってしまう集中信号を断続的にオンにし続けるという非常に込み入った手続きが行われていたのです。
このような集中力にとって優しくない脳の仕組みが存在する理由について研究者たちは、「過酷な自然界では常に外界の危険をチェックする必要があったため」と述べています。
つまり集中状態は広く周囲を警戒する際には邪魔だったのです。
そのため集中を中断して周囲に目を向けられる個体は、集中し続け周囲がみえなくなる個体よりも進化上、有利になったと考えられます。
では、集中と脱集中の入れ替わりが避けられない事実だとしたら、私たちはどうするのが最も効率的なのでしょうか?
これまでの研究では、一定の集中力期間を維持した後に、トイレや風呂などで集中を解消すると、創造力が湧き出ることが示されています。
集中力が作業の生産性に重要であることは確かでしょう。
しかし、視野を広くもった創造的な仕事には集中状態が逆に邪魔になるのも事実のようです。
もし勉強中に集中力が途切れて来たなと感じることがあったなら、そのときこそ真に効率の良い学習のチャンスかも知れません。
息抜きにとゲームや動画観賞など他の集中力を要する作業に向かわず、脳をリラックスさせながら学習内容を振り返られる散歩やシャワーをすると、より高い学習効果が得られるかもしれません。