複数の頭が生えるよう進化?オオアリクイはカモフラージュの天才だった
Twitterアカウント「Buitengebieden」に投稿された7秒の動画には、丸太から食事をするオオアリクイの姿が記録されています。
Took me a minute.. 😂 pic.twitter.com/uT4gcqftqo
— Buitengebieden (@buitengebieden) January 29, 2023
最初は樹木に沿って細長い鼻と口先を動かしていますが、すぐに「もう1つの頭」が追いかけます。
まるで「パンダ」のような2つ目の頭が、1番目の頭と一緒に食事をしているかのようです。
しかも2番目の頭は、オオアリクイの前足から生えているように見えます。
この不思議な光景を目の当たりにした人々は、「2つの頭を持つ生物?」「何が起こっているのか理解できない!」と驚きのコメントを残しています。
もちろん、少し落ち着いて見れば、「この動物はモンスターではない」と分かるでしょう。
パンダ模様の頭は、オオアリクイのフワフワとした白い前足であり、それが他の動物の頭に似ているだけなのです。
では今回の動画は、偶然が重なった「奇跡の瞬間」を捉えたものだったのでしょうか?
つまり、たまたまオオアリクイが複数の頭を持っているように見えただけなのでしょうか?
そうではありません。
すべてのオオアリクイの前足は白くフサフサで、まるでパンダの頭ような黒い模様が入っているのです。
つまりこれはオオアリクイの生存戦略なのです。
この頭のような模様の前足によって捕食者は、オオアリクイの近くに別の動物が付き添っているように見えるのだといいます。
もしくは、オオアリクイ自体を自分よりも強い別の動物だと誤認する可能性もあるようです。
動画を閲覧したある人は、「これは進化遺伝学的にどうなっているのだろう?」とコメントを残しました。
多くの科学者たちは、「オオアリクイが捕食者から身を守るために進化した」と考えています。
そして実は、オオアリクイのカモフラージュは前足だけではありません。
貴重な子供を守るためのカモフラージュも行っているのです。
オオアリクイのメスは1年に1回しか子供を産まず、子供が独立するまでの約1~2年間は、親が子供を背負って移動します。
そしてこの時、子供の白と黒の模様が親の背中の模様と一致するため、捕食者には子供のオオアリクイを見つけられないのです。
カモフラージュに特化したオオアリクイが、捕食者だけでなく、私たち人間を混乱させるのも無理はありませんね。