心拍数のわずかな違いで「1秒未満のごく短い時間」は伸び縮する
実験には、18~21歳の心臓病歴のない45人が参加。
彼らの心臓の電気活動は、心電図によりミリ秒単位で測定されました。
そして接続されたコンピュータによって、心臓の鼓動に合わせて80~180ミリ秒(0.08~0.18秒)の短い音を鳴らしました。
さらに参加者には、心拍数の違いで音の時間の感じ方にどんな変化が生じるか答えてもらいました。
その結果、参加者たちは、心拍数が高くなった直後に音を実際よりも長く感じ、心拍数が低くなった直後に音を短く感じました。
時間の感じ方は、心拍のわずかな変化に応じて伸びたり縮んだりしたのです。
研究チームは、「心拍は時間の感じ方に影響を与える」と述べ、こうした感じ方のばらつきを「一時的なしわ」と呼びました。
また実験では、脳が心拍に影響を与えることも示されました。
参加者たちは、音を聞いた後、その音に注意を向ける傾向にありました。
こうした集中が心拍数を変化させ、時間の感覚にも影響を与えていたのです。
結論として、研究チームは「心拍は、時間の経過を感じるために脳が使っているリズムであり、私たちの感じる時間とは直線的なものではなく、常に収縮と拡大を繰り返している」と述べました。
これは、「心拍で時間の感じ方が変わる」という科学者たちの考えを支持するものです。
私たちが思っている以上に、人間は短いスパンで時間の感じ方の変動を経験しているようです。
異なる研究でも、ドキッとした瞬間に人間は周囲をスローモンションに感じていることが事実であるという報告もあります。
今回の結果はこうした報告とも関連しているかもしれません。