実はオーパーツ!?「40年以上も使い回されている宇宙服」
宇宙服は様々な素材でできた布地が何層にも重なっており、真空状態や熱、宇宙塵から人間を守ってくれます。
また生命維持装置によって二酸化炭素の除去と酸素の供給を行ったり、宇宙服内の温湿度を一定に保ったりします。
さらに通信のためヘッドセットやカメラ、ライトなども装備されており、長時間の作業に備えて飲料水バッグも収められます。
こうした宇宙服は、まさに「小さな宇宙船」であり、1着10億円以上もするようです。
そして実は、現在国際宇宙ステーション(ISS)の船外活動などで使われている宇宙服は40年以上前に作られたもので、新たに生産することができません。
これは多層の材料を複雑に重ねた宇宙服は手で縫うことしかできず、その縫製技術が継承されなかったためだといいます。
そのため当時NASAは宇宙服を寿命15年と想定して設計・生産しましたが、現在もそのうちの11着が設計寿命を大幅に越えた状態で未だに利用され続けています。(7着はチャレンジャー号とコロンビア号の事故で失われた)
もちろんNASAも新しい宇宙服の開発に取り組みましたが、宇宙服の設計は非常に複雑であり、また未来に想定される使用環境も不確定な部分が多かったことから難航していました。
そこで彼らは民間企業の宇宙服を使用することにしました。
2022年9月には、有人月面探査ミッション「アルテミスⅢ」(2025年の予定)で使用する月面探査用の宇宙服を、宇宙インフラ開発会社「アクシオム・スペース」が提供すると発表。
人々は、「新しい宇宙服はどんなものだろうか?」と期待に胸を膨らませてきました。
そしてこの度、NASAとアクシオム・スペース社は、新しい宇宙服のプロトタイプを公開したのです。