質量の小さい4つの古代銀河では「急速な星形成」が見られた
研究チームが古代銀河の質量を測ったところ、「4つとも非常に小さい」と判明しました。
古代銀河の質量は太陽質量の1億倍しかなく、天の川銀河(太陽質量の1.5兆倍と推定)と比べると、非常に小さいものです。
そして研究チームによると、これらの銀河は「非常に速いペース(天の川銀河とほぼ同じ速度)で星形成が行われている」とのこと。
今回の2つの論文の共著者であるステファン・シャーロット氏も、「宇宙の初期の銀河としては、驚くべき速度だ」と述べました。
現在の宇宙論の標準モデルによると、宇宙の初期では、星を形成するための材料である重元素(酸素や鉄など)が不足しており、当時の星のほとんどは水素やヘリウムでゆっくりと形成されると考えられています。
天の川銀河の星形成速度は現在の宇宙の中では平均的な水準と考えられているため、古代銀河の星形成の速度が、天の川銀河と同程度であることは大きな発見だと言えるのです。
ちなみに今回の研究では、4つの古代銀河には金属などの重元素があまり含まれていないと分かりました。
この点について新しく発見された「初期宇宙の銀河4つ」は、現行の宇宙論モデルと矛盾していません。ただ星形成の速度は現行の理論を上回るスピードとなっています。
今回の発見は、2023年2月に観測された6つの大質量銀河と同様に、現行の宇宙論のモデルにいくらか調整を加える可能性があります。
アメリカ・イェール大学(Yale University)の天文学者ピーター・ヴァン・ドックム氏が「最前線はほぼ毎月動いている」と述べるように、JWSTによる観測データは、現在進行形で天文学を推し進めているのです。
しかも今回の発見によって、まだ観測されていない領域は「ビッグバン(始まり)から約3億年間」だけになりました。
今後も科学者たちは、JWSTによって宇宙の始まりに近づき続け、天文学を更新していくのでしょう。