宇宙はいつから非対称になったのか?

なぜ私たちの宇宙は鏡面関係にある構造の一方の出現を優先させる非対称性をもつのか?
研究者たちは、非対称性の起源は宇宙誕生直後のインフレーションに遡ると考えています。
私たちの宇宙は誕生直後しばらく小さな点に過ぎませんでしたが、10のマイナス36乗秒後から10のマイナス34乗秒という極めて短期間の間に、光の速度を超える指数関数的な急膨張を引き起こしたと考えられています。
そのため銀河分布の対称性に影響を与えるような変化が起きたとすれば、その変化はインフレーション中しかありえません。
この変化によって宇宙の仕組みが根本的なレベルで変化し、対象性が破れる宇宙になったと考えられます。
そして宇宙が小さかった頃に刻まれた非対称性の影響は宇宙が拡大した後も残り続け、銀河分布の非対称性に形を残しました。
現在、この非対称性を誘発する変化が起きた仕組みは解明されておらず、未知の量子現象、あるいはまだ発見されていない力から生じた可能性があります。
もしそのような未知の現象や力を特定し非対称性の根源を理解することができれば、標準模型を超えて、新たな段階へ物理学をステップアップさせ、なぜ私たちの宇宙は反物質より物質が多いのかといった、究極の疑問に答えることができるでしょう。