パンダの全身を真っ白にした「アルビノ」とは?
研究者によると、このパンダは先天的にメラニン色素を生合成できない遺伝子疾患である「アルビノ」とみて間違いないといいます。
その根拠の一つは目が赤いことです。
アルビノとよく混同されるものに「白変種(リューシズム)」がありますが、こちらは色素自体は作れるものの、色素の減少によって皮膚や体毛が白くなる現象を指します。
そのため遺伝的には正常であり、目の色も他の通常個体と変わりません。
しかしアルビノでは、目を含む体全体の色素が生まれつき作れないので、奥の血管が透けて見えて赤目に見えるのです。
これがアルビノと白変種を見分ける際の大きなポイントだといいます。
一方で、アルビノ個体は他の仲間と違い、野生下で生き抜くことが困難です。
一番はやはり純白の体が目立ってしまうので身を隠すことが難しく、天敵に見つかりやすくなります。
それからメラニン色素は、虹彩や網膜、視神経の発達を助ける働きがあるので、アルビノ個体は視力が悪くなりやすいです。
加えて、メラニンは日光から皮膚を守る働きがあり、それが不足していると皮膚がんの一種である「メラノーマ(悪性黒色腫)」を発症するリスクも高まるのです。
そのせいで、日光浴をよくする動物にとってはアルビノこそが死の原因になることもあります。
「白のパンダ」は今のところ健康状態に異常がなく、仲間ともうまくやれているようなので、アルビノであることのデメリットをあまり受けていないようです。
それでも研究者らは、この貴重なパンダを保護するためにもより多くの映像を撮影しながら、DNA検査も進めていきたいと述べています。